三育フーズ 大豆バーグなどパウチ商品3年連続2ケタ増、ライン自動化を予定、常温の強みで“ローリングストック”提案も
また、「完熟トマトソース野菜大豆ボール」や「デミグラスソース風野菜大豆ボール」といった大豆ボールシリーズも大きく伸びている。さらに、カットしてそのままサラダやサンドイッチに使える「大豆のハム」や「大豆ローフ」などの大豆ハムシリーズも、平尾正弘社長が「市場であまりない商品」と強調するように、2019年、2020年は前年超え、2021年は2ケタ増となった。
一方、「リンケッツ」や「ベジツナ」などの缶詰製品と乾燥大豆ミートを含むカテゴリは、2020年は特需で2ケタ増となったが、2021年は横ばいで着地した。2020年はコロナの影響もあり、大豆ミートなど植物性たん白に注目が集まり、スーパーからの引き合いが増えたという。ただこれら商品は、温めてそのまま食べることができるパウチの商品と異なり調理が必要だ。三育フーズ母体の教会では菜食料理教室を開催していたが、コロナ禍のため開催できなかったことも影響した。
長年、自然食品系の問屋を中心に高く評価されてきた「リンケッツ」や「大豆のハム」は、原料に卵白粉を用いており、「卵を抜いて味を出すのが課題で研究している」という。大豆ミートはこのほど、「大豆ミート食品類」としてJAS(日本農林規格)制定されたが、乳や卵など動物性素材を使わない「大豆ミート食品」に該当する商品として、ヴィーガン対応も目指していく考えだ。
また、今年中に好調なパウチ商品の充填機械を導入し、ラインの自動化を予定している。現在、手詰めが中心の缶詰商品をパウチで展開することも視野に入れる。
三育フーズの植物たん白は缶詰やレトルトパウチを採用し、常温で展開している強みから、ローリングストック(使用分の非常食を買い足し備蓄量を一定に保つ手法)のバリエーションとしても紹介している。「東日本大震災の時、冷蔵や冷凍できない避難所で、たん白質をいかに摂るかが課題だった。特に大豆バーグシリーズは重宝され、支援品として送って活用してもらった。常温の植物たん白には一定のニーズがある」と述べる。
さらに同社はOEM(相手先商標による受託製造)にも対応している。最近では、大豆ツナ風の商品「ベジツナ」をベースとし、フードテックベンチャーのネクストミーツが昨年発売した「NEXTツナ」の製造を請け負っている。
〈大豆油糧日報2022年3月9日付〉