テクノベルの大豆ミート専用押出機、小型でリーズナブルな研究開発向けを発売
押出機の製造・販売を行うテクノベル(大阪市城東区)は、大豆ミートを始めとした代替肉製造に特化した専用押出機の製造・販売を、1月31日から開始した。
テクノベルは1991年4月に創業し、プラスチックを成型するための押出機を製造・販売していた。世の中で環境問題が大きく取り上げられることで、ペットボトルなどのプラスチックへの需要はシュリンク(縮小)してくるだろうと考え、同社では、ここ数年でブームとなってきた大豆ミートを製造するための押出機の開発に着手し、大学や中小メーカーの研究開発部門でも導入しやすい、小型でリーズナブルな大豆ミート専用の押出機の製造・販売に踏み切った。
テクノベルの澤周作取締役専務によれば、「世界的にはスクリューの本数が単軸と2軸の押出機が主流だが、当社では、4本と8本のスクリューを搭載した押出機の製造特許を取得しており、他社よりも、より混練できる機械を提供できる。混錬の精度を高めた方が、食感がアップして、臭みがない大豆ミートが出来上がるといったことも導入メーカーから聞いている」とし、差別化要因を紹介した。
テクノベル 澤周作取締役専務
また、押出機の構造は、「大豆を脱脂し、粉と水を混ぜて、ある一定の温度まで上げて、圧力をかけた状態にして、押し出し、膨化させることで大豆たん白を組織化させる。高温高圧で成型して、組織加工するために押出機が使われる。某大手メーカーからも多軸の押出機に注目していただいていて、多軸の方がおいしくなると言われている」と改めて強調した。
〈小型押出機の設計ノウハウの蓄積が強み、部品も内製化しメンテナンスも安く〉
最近は、自社で大豆ミートを作りたいというニーズが高まっており、同社では研究開発用の小型の押出機の販売をスタートさせた。
「プラスチック用より、食品用はハイグレードな部品を使う必要がないので、特に海外の製品と比べて、当社の製品は価格的な競争力がある。また、ハンドリングのしやすさも特徴だ。小型押出機の設計ノウハウの蓄積があるので、研究開発に携わる人にはより使いやすい機械を提供できることが強みとなっている。また、部品の内製化により、メンテナンスも安く抑えることができる」とした。
大豆ミート専用の押出機の導入実績はすでにあり、本体価格に導入先に合わせてカスタマイズすると、約1500万円の価格帯で提供できるという。海外製品では数千万円する機種もあり、テクノベルでは高品質な製品をお手頃な価格で提供することで、差別化を図っていきたいとする。
「機械の中に入っているスクリューはひとつずつ形が違う。いろいろなスクリューを組み合わせることで、混ぜ方の強弱や温度調整など、お客様のニーズに合わせたセッティングができるノウハウがあることも、当社の強み」とした。
大豆ミート押出機の市場に関しては、「プラスチックに並ぶ規模になるのではないかという期待感はある。牛、豚、鳥の畜肉が植物性に置き換わっていくとしたら、かなり大きな市場規模になるのではないか」との見解を示した。
なお、テクノベルでは、競合他社には製造できない研究開発用の1~10kg/時の吐出量の小型押出機から、10~100kg/時の中型押出機、100kg/時以上生産可能な大型押出機まで幅広く対応している。
〈大豆油糧日報2022年3月10日付〉