後発大豆ミートは新たな切り口が必須に、そのまま使える水煮タイプ上市準備中

蝶理「Greenwise(グリーンワイズ)」水煮品パッケージ
畜肉と比べると環境負荷の少ない大豆ミートは、多くの企業が重視するサステナビリティとの相性が良く、ここ1~2年で他業種を含めて参入企業も一気に増えた。

それに伴い、いまやミンチタイプやハンバーグなどのベーシックな商品は、すでに市場でありふれている状態だ。後発となる場合には、原料面での差別化、販売形態や商品規格の工夫による使い勝手の向上、ターゲットを絞った商品開発など、新たな切り口での提案が必須となっている。 

繊維・化成品の専門商社の蝶理(大阪市中央区)は昨年から、ロシア産のプラントベースミート「Greenwise(グリーンワイズ)」の日本での展開を開始した。原料は、大豆ミートで一般的な粒状大豆たん白ではなく、珍しい組織状大豆たん白が用いられている。既存のバンバンジーとチャーシュー、からあげタイプのほか、新製品として水煮タイプを上市準備中だ。 

大豆ミートで課題となる大豆臭を取るには、「水にさらすのが効果的」という。また、乾燥大豆ミートは水戻しが必要となるが、製品によって温度や時間の指定が異なり、適度な硬さを維持して水戻しするのは難しい。水煮タイプであれば、パックを開封して水分を切り、そのまま使うことができる。水煮の設備や技術を有する蓮根加工品の国内トップメーカー、マルハ物産(徳島県板野郡)に製造を委託している。 

また、「グリーンワイズ」の原料の大豆ミートはロシア産だが、ウクライナ侵攻の影響について、「輸入は問題なく、供給も問題なくできており、現時点で制裁の影響はない」としている。ドライ商品で展開しているジャーキーは、新たに1種類を開発中だという。秋頃の発売を目指し、現在テスト販売も行っている。さらに、「グリーンワイズ」を販売するECサイトも4月を目途に準備中としている。 

〈ターゲットをアスリートや女性に、ふりかけタイプは簡単調理で豊富なレシピ 〉
こんにゃくメーカー茂木食品工業(群馬県甘楽郡)は、2021年6月に発売した大豆とこんにゃくでつくった「サラダバーグ」が大きな反響を呼んでいるという。食品スーパーや自社ECサイトで販売しているが、「毎月売上が増えている」(同社)。 

「サラダバーグ」の原材料のうち、こんにゃくは30%を占め、カロリーを抑えた上で食物繊維が多く、健康的でからだにやさしいハンバーグであることを訴求する。ヴィーガン規格でグルテンフリーでもある。 

「趣向を変えた商品として、プラスアルファのポイントを持たせた」という「サラダバーグ アスリート」と「サラダバーグ リッチセラミド」を、7月頃に発売する予定だ。「アスリート」は粒状大豆たん白に加え、エンドウたん白も使うことで、既存の「サラダバーグ」の約1.5倍の高たん白を実現した。

茂木食品工業「サラダバーグ リッチセラミド」

茂木食品工業「サラダバーグ リッチセラミド」

「体を動かす人はもちろん、フレイル対策で高齢の人にもおすすめ」としている。カレーテイストに仕上げる。女性がターゲットの「リッチセラミド」は、こんにゃくセラミドを配合させた商品だ。こちらは、セサミ&トマトテイストとなっている。同社は、サプリメントのこんにゃくセラミドを通販で販売しており、レビューでも評価が高いという。「セラミドを添加することで、からだにやさしい『サラダバーグ』にプラスして、からだの内側からもきれいにする」と訴求する。 
 
水戻しの手間を省き、ふりかけのように使えるのは、上向き(福岡市中央区)がDAIZから原料を調達し開発した「ソイクル」だ。白坂大作社長は「脱脂大豆ではなく、発芽大豆から作っているため、高たん白で低脂質のヘルシーフードだ。肉に近いアミノ酸やグルタミン酸が豊富なためおいしい。調理も簡単で、かけるだけ、あえるだけ、まぜるだけで、さまざまなメニューを作ることができる」とし、湯戻しなどの手間がない使い勝手を訴求する。
 
フレークとブロックの2つタイプがあり、から揚げや麻婆豆腐、ジャージャー麺、ミートソースなどに使える。同社公式インスタグラムでは、バリエーション豊かなレシピを提案している。 

上向き「ソイクル」

上向き「ソイクル」

〈大豆油糧日報2022年3月24日付〉