かどや製油2022年3月期決算は増収増益、ごま油の2023年3月見通しは家庭用、業務用など全てで増加

かどや製油は6月7日、2022年3月期の決算説明会をオンラインで開き、決算概要や見通しのほか、久米敦司社長が中期経営計画やサステナビリティ基本方針などについて説明した。22年3月期決算は、売上高前期比2.5%増の321億8,500万円、営業利益14.2%増の34億5,000万円、経常利益26.5%増の39億6,800万円と増収増益だった。

高野純平執行役員管理本部長の説明によると、新型コロナによる巣ごもり需要は一段落し、家庭用の売上は減少したが、業務用は増加、輸出用は大きく増加したという。

ごま油の家庭用は1.4%減の108億4,600万円。巣ごもり需要が一段落し、売上は昨年を下回ったが依然として内食需要は堅調とした。業務用は0.5%増の72億3,500万円となり、加工ユーザー向けは引き続き堅調で、外食需要も徐々に回復しており、微増となっている。

輸出用は16.7%増の53億2,700万円と大幅に増加した。北米の外食向けを中心に増加しているが、輸出用コンテナが不足しており、船積みは遅れ気味となっているとした。結果、全体では2.8%増の234億800万円となったとした。

2023年3月期の見通しについては、「売上高335億円、営業利益25億円、経常利益26億円、当期純利益18億円とし、売上ではごま油は家庭用、業務用、輸出用全てで増加する見通し。ごま油は家庭用、業務用の値上げを見込んでおり、一部販売数量減となるかもしれないが、ネットで売上増を見込んでいる。特に輸出用ごま油は前期に比べ、為替円安の影響もあり、売上は増加する見通しだ。

利益面では、営業利益が9億5,000万円の減益を見込んでいる。売上は増加するが、原料価格の高騰のため、売上原価がそれ以上に増加し、積極的な広告宣伝や販促活動も復活するため、販管費も増加を見込んでいる。

〈ファンコミュニティサイト「ごまラボ」、ブランドショップ「ごまと」を立ち上げ〉
久米社長は昨年策定した中期経営計画「ONE Kadoya2025」の進捗状況などについて説明した。説明の前に直近の4月~5月の状況については、「家庭用、業務用ともに増加している。家庭用ごま油はほぼ前年並みの1.0%増、巣ごもり需要、在宅勤務、内食が広がった一昨年と比較して、10%減となっている。業務用のごま油はまん延防止等重点措置の解除を背景に社会的な制約が緩やかになり、昨年比で13%増、一昨年との比較では、30%増と大幅に上回った」とした。

中期経営計画では、「22年度は売上高335億円を予定している。当初立てた中期経営計画の336億円とほぼ同等で予定通りとなっている。今期の業績を踏まえ、25年度の売上高380億円については今回も最終年度として、据え置きの計画とする」とした。

具体的な戦略では、「かどやファンの着実な底上げについてはかどやブランドの総合的な強化という観点で、企業ブランドの確立と認知向上に向け、ブランドコンセプト『ごまで、世界をしあわせに。』を策定したほか、5月30日にはファンコミュニティサイト「ごまラボ」を開設した。ごまを起点に当社とお客様との双方向で密なコミュニケーションを可能とする場である。当社からの情報発信だけでなく、お客様からも気軽に発信してもらえるサイトとなっている。また、6月17日にオープン予定となっているブランドショップ『goma to(ごまと)』はごまを使ったメニューを楽しむことができるカフェとなっている。ごまの新しい使い方や魅力を知ってもらい、ごまとともにある食卓を作っていきたいという思いを込めた」と説明した。

海外事業の強化では、「原料調達の多様化ではサプライヤーを開拓していく。安定供給を目指して、搾油用、食品用ともに新規サプライヤーを増加させることができた。原料品質の向上と安定供給の観点から海外での在庫、品質管理ができないかという可能性についても現在検討中だ。海外事業の拡大では、M&Aも視野に入れながら、海外拠点の確保、事業拡大のためのリサーチを行う。欧州を中心とした新規市場における新規開拓についても引き続き実施していきたい」と語った。

〈大豆油糧日報2022年6月8日付〉