福島会津で納豆作り約100年の“新田商店”、こだわり経木納豆など全国へ、スパイスで楽しむ納豆も開発【注目の地方企業】

新田商店「スパイスで楽しむ納豆」旨辛七味・クミン塩
新田商店(福島県大沼郡)は、福島・会津の地で大正12年から納豆を作り続けている老舗だ。

良質な契約栽培の国産大豆を原料に、時間をかけて丁寧に製造した納豆を、県内スーパーを中心に、関東圏の一部スーパーや通販サイトでも展開し、全国の消費者へ届けている。最近では、「スパイスで味わう納豆」などにもチャレンジし、若い世代の関心も惹きつけている。 

「先代の作る納豆がとてもおいしかった」と話すのは、同社の新田俊代表取締役。4代目として伝統の味を引き継いでいる。新田代表取締役は、「大豆は北海道ユキシズカを使用している。当社が契約している農家の大豆は洗浄した瞬間から質の良さが分かる」と、納豆製造において特に大豆にこだわっているという。また、時間をかけてじっくりと低い温度で大豆を炊き上げるため、中粒並みのふっくらとした仕上がりになる。納豆菌は、業界でも人気が高く大豆と相性の良い「宮城野納豆菌」を使用している。

新田商店・新田俊代表取締役

新田商店・新田俊代表取締役

新田商店の看板商品は、経木(赤松の木)で包んだ「経木納豆(きょうぎ・なっとう)」だ。経木は発注してから削り1カ月かけて乾燥させる。それを1枚1枚人の手で納豆を包み、「自然の温もりを感じる」納豆に仕上がるという。 
 
新たな取り組みにも挑戦している。納豆との珍しい組み合わせとして、ブラックペッパーと塩、納豆の相性が良好なことに気づき、さらにスパイスブームであったことから、都内のシェフ監修のもと長い期間をかけて、化学調味料や砂糖を使用しないスパイスで楽しむ納豆を開発した。「旨辛七味」「クミン塩」の2種を発売中で、年代関係なく好評だが、特に若い女性に人気があるという。そのまま食べるのはもちろん、天ぷらにするとスパイスの味がより発揮されるほか、カレーなどに入れるのもおすすめだとする。 
 
同社は昨年から、OEMサービスも開始した。約100年培った納豆製造のノウハウを活かし、預かった大豆を納豆に仕上げ提供する取り組みで、例えば、近隣農家の大豆を同社が納豆に加工し旅館などで販売されるケースなどがある。引き出物やノベルティとして納豆の受託も可能だという。パッケージデザインは、同社のクリエイティブプランナーから提案もできる。 
 
さらに、今後の取り組みとして、地元生産者が栽培した大豆を原料とした納豆の商品化にも着手している。
 
〈大豆油糧日報2022年7月12日付〉