米国大豆油市場へのトランス脂肪酸規制の影響など解説-USSECセミナー

アメリカ大豆輸出協会(USSEC)は、全油販連との共催により、米国の油脂事情を紹介するセミナーを2日、都内で開いた。

米国大使館のジェス・ポールソン農務官による開会のあいさつに続いて、コンサルタントのフランク・フライダー氏が、米FDA(食品医薬品局)が06年1月に、加工食品の栄養表示としてトランス脂肪酸の含有量を義務化したことに続き、昨年6月にはトランス脂肪酸が多く含まれる部分水素添加油脂をGRAs(一般的に安全と認められる添加物)の対象から除外し、3年後の18年6月から規制することを決めたことなど、トランス脂肪酸への一連の規制が、米国の大豆油市場に与えた影響について解説した。

フライダー氏は、06年のトランス脂肪酸量の表示義務化により、それまで米国の食用油使用量の約80%のシェアを占めていた大豆油は、直近では約60%まで低下し、一方で代替油として需要を伸ばしているキャノーラ油は義務化前の4%から16%へ、パーム油は3%から8%へと、それぞれシェアを伸ばしているとした。この間、米国の関係メーカーは、表示義務化前と比べて現在ではトランス脂肪酸を80%除去するなど、含有量の低減に努めたが、大豆油のシェア回復には至っていないとした。

また、付け加える形で、米FDAが昨年決めた規制は、あくまで部分水素添加油脂をGRAsから除外しただけであり、日本で一般的な植物油や、(トランス脂肪酸が発生しない)完全水素添加油脂、天然由来のトランス脂肪酸、飼料などは規制されないことを、改めて強調した。(詳細は本紙にて)