相模屋食料 過去最高売上を更新、救済企業で債務超過解消進む、もぎ豆腐店は最高の豆腐作りに集中 /鳥越淳司社長インタビュー

相模屋食料「うにのようなビヨンドとうふ」
相模屋食料「うにのようなビヨンドとうふ」

「BEYOND TOFU」など独自商品の売上を伸ばし、ますます勢いに乗っている相模屋食料。豆腐製造業者の救済・再建活動の進捗も順調だ。鳥越淳司社長に今後の展開を聞いた。

相模屋食料・鳥越淳司社長
相模屋食料・鳥越淳司社長

――今期(2023年2月期)ここまでの動向は

売上は過去最高を更新しており、特に5月、7月が好調だった。「おだしやっこ」、「とうふ麺」、「BEYOND TOFU」が絶好調で、当社が開拓してきたカテゴリが伸長している。通期では約340億円に到達するのではないか。

――グループ会社の進捗は

2022年3月に、「三之助」ブランドでお馴染みのもぎ豆腐店(埼玉県本庄市)が当社グループに仲間入りした。「三之助」の理念・思いを大事にし、効率や歩留まりなど数字の部分は考えず、ひたすらおいしい最高の豆腐を作ることに集中する。メインの百貨店に注力し、百貨店のお客様に満足頂ける豆腐作りを目指す。

もぎ豆腐店の経営状態は非常に優良で、同社以外のグループ会社についても全て黒字化を果たした。丸山商店(福岡)はまもなく債務超過解消する見通しで、あとは京都タンパク(京都)と匠屋(兵庫)のみとなった。19億円の大型投資をした京都タンパクは、債務超過解消まで、あと2年くらいかかるだろう。

〈「BEYOND TOFU」月売上で1億円規模に成長、「カルビのようなビヨンド油揚げ」開発中〉

――商品動向について

「ひとり鍋」シリーズは、年間38億円の売上規模だ。手軽にスンドゥブなどが楽しめることに加え、野菜やエビ、チーズを加えたり、消費者から自発的にアレンジを広げて頂いていることが、ここまでリピートに繋がっている要因ではないか。昨年9月のリニューアルで「たんぱく質がとれる」ことを記載し、売上が更に1.3倍に増えた。

「BEYOND TOFU」シリーズは、過去最高の売上(月次)を更新し、7月度は1億円弱まできた。当社のオンリーワン商材であり、プラントベースフードとしての豆腐が受け入れられ始めている。取り組みを始めた8年前は見向きもされなかったが、今では商品を投入すると反応が返ってくる。現在の売れ筋は「シュレッドタイプ」、「うにのようなビヨンドとうふ」だ。「うに」は今年3月の発売開始から5カ月で販売数が180万パック超となった。

伝統の手ごね製法で肉粒感・ヘテロ感を出した「肉肉しいがんも」は、大豆ミートコーナーで販売されることが多く、店舗によっては他の大豆ミート製品の約3倍の売れ行きとなっている。今後は、(成形工程に)寿司ロボットを活用し少し機械化することで、秋冬に向けて生産量が増やせそうだ。

同シリーズのための工場(前橋市)も新たに買収した。もとは精密機械工場だったところで、改築のための包材などの調達が遅れており現在は休眠状態だが、昨今の情勢が落ち着いたら稼働させていく。

現在は「カルビのようなビヨンド油揚げ」を開発中だ。もともと油揚げは肉の替わりとして使われることが多く、グループ会社の石川サニーフーズが製造する(乾燥タイプの)「おだしがしみたきざみあげ」は、そのまま食べておつまみになるという消費者の声があった。この食感に改良できれば、植物性で肉テイストになるのではと考えた。来春には展開できる見込みだ。

そのほか自動調理自販機「ヨーカイエクスプレス」で提供されるプラントベースラーメン(一風堂)のチャーシュー部分を当社が請け負うことになった。「肉肉しいがんも」の技術を活かした「チャーシューがんも」だ。業務用途も広がっていきそうだ。

――原料・エネルギーコスト高騰の対応は。また、下期に向けて

全品を対象に、値上げの交渉を進めている。エネルギーコストがものすごく上がっており、稼働すればするだけダメージとなる厳しい状況だ。難局にあるが、しっかり立っていられるように頑張っていきたい。豆腐製造業者の破綻のスピードが早く追い付かないが、救済できるところは取り組んでいきたいと思っている。

〈大豆油糧日報2022年9月13日付〉

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昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
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