ADEKA “おいしいプラントベース”「デリプランツ」発表、おいしさ・使いやすさにこだわり、海外展開も視野に「売上高100億円以上の事業へ」
ADEKAは9月21日、2022年4月に上市したプラントベースフード(PBF)の新ブランド「デリプランツ」発表会を、東京港区のシェラトン都ホテル東京で開催した。
当日は、同ホテル協力により「デリプランツ」製品を使用した完全植物性のフルコースを提供し、同ブランドのこだわりであるおいしさや使いやすさをアピールした。
冒頭、同社の小林義昭取締役兼常務執行役員食品本部長が、環境意識の高まり、食の多様性を背景に注目を集めているPBFについて、「世界のPBF市場は、乳代替と肉代替中心に2030年には約22兆円の市場規模が予想されているが、最も市場規模が大きいのは乳代替であり、その大部分が豆乳など飲用だと言われている。一方、代替チーズ・ホイップクリームなどは市場規模が依然小さい。その理由として、動物性由来の味や食感の再現が難しく技術発展の途中であることが考えられ、おいしさを有する製品にすることで、PBF市場は更に成長できるのではないか」との見方を示した。
さらに同社調べで、PBFの食経験がある人の約8割が今後も継続して食したいと答えたが、一方で「いいえ」と応えた約2割のうち、半数がその理由として、おいしさの不足を挙げたとし、「PBF市場拡大のカギは食の原点であるおいしさ」だと強調した。その上で「デリプランツ」は、おいしいの「デリシャス」と植物の「プランツ」の造語で、おいしいPBFの提供を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくと意気込んだ。また、国内のみならず東南アジアや欧州、北米などへの展開も視野に入れ、売上高100億円以上の事業を目指す。
〈乳製品代替ターゲットに製品開発、新技術で動物性のコクや厚みを再現〉
続いて、池田憲司執行役員食品開発研究所長が、製品概要について説明した。製品開発のターゲットは、世界生乳生産の用途の大部分は料理などに使われる乳製品であることから、乳製品代替をターゲットに検討していくことで、PBFを食卓の当たり前にしていきたいと展望を話した。
普及のポイントは「おいしさ」、「使いやすさ」だとし、動物性食品の持つコクや厚みを、動物性原料を使用せずに再現する同社の新技術「ReTERA(リテラ)技術」は、乳の味をそのまま付与したり香料で対応するのではなく、乳製品を食べた時のおいしさ・満足感をPBFの中で再現すると紹介した。同技術を活かした「デリプランツ」は現在6品を展開中で、チェダー風味など追加ラインアップを予定している。
展開中の「デリプランツ オーツコンク」は、さまざまな産地のオーツの中でもおいしく、アジアの消費者好みの味わいで、グルテンフリー認証のアイルランド産オーツ麦を使用。「乳製品のような味」ではなく、「乳製品のように使用できる自然な風味」に仕上げ、料理に使いやすい(市販オーツミルク対比)3倍の高濃度タイプにしている。
「デリプランツ ホイップ」は、通常のホイップクリームと同様に、多様な用途に使える。「チーズ(クリーミー)」は、低温でも軟らかく、焼き色もしっかりつく。コレステロールは98%低減、脂質は37%低減(日本食品標準成分表20年版八訂、クリームチーズとの比較)。
「チーズ(セミハード)」は、シュレッドやダイスといった用途に応じた加工が可能だ。「マーガリン」は、多様な用途に適し、香料や風味原料は不使用で自然なおいしさを引き出す。動物脂のようなコクが付与できる調理用油脂「コクファット」は、クセが無く代替肉やスープ、ソースなどさまざまな用途で使えるとアピールした。
試食会では「デリプランツチーズと夏野菜のタンバル仕立て」、「彩り野菜とあおさの香るチーズフォンデュ」、「桃とベジタブルブイヨンのパリソワール」、「デリプランツチーズと加茂茄子のステーキ」などを提供。シェラトン都ホテル東京の神長明弘総料理長は、使いやすさや「デリプランツ」製品そのもののおいしさを評価した。
〈大豆油糧日報2022年9月27日付〉