ひかり味噌 2022年9月期売上5%増も利益厳しく、輸出は好調、意外な国の引き合いも
巣ごもり需要が落ち着きつつあり、市場全体では、前年を下回るメーカーが散見される中、ひかり味噌の今期(2021年10~2022年9月)売上は前年比約5%増の着地が見込まれているという。
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「ただ、利益は厳しい。為替と業績は連動する。価格改定やコストダウンにも取り組んでいるが、仕入れコストの方が上回る」と林善博社長は厳しさをにじませる。
一方、輸出は好調だ。中近東やモンゴルなど、意外な国からも引き合いがきている」とし、コロナ収束につれて日本食や発酵食品に対する需要は増えていると指摘する。取締役林恭子コーポレートマーケティング本部長にも出席してもらい、新商品やマーケティングを含めた今後の展開について伺った。
原材料高による影響で、みその値上げを公表しているひかり味噌の現状は、「店頭における値上げは先月辺りから実施されている。出荷ベースでは悪くない。8月が伸び悩んだのは猛暑が原因だ。8月末から9月に入ってだんだん回復してきている」と林社長は説明する。
主力商品に関しては、「『無添加 円熟こうじみそ』はまずまず、有機みそは横ばい。新商品『CRAFT MISO 生糀』は商談がだいぶ進んでいるので、9月末からの出荷は期待できる」と推察する。こうした状況下で、同社では、経営の安定性を考えて、「有機みそや国産大豆を使ったみそも販売する。お客様の選択を豊かにしておくのが基本だ。減塩、無添加もそろえ、付加価値型のみその提案にも力を入れていく」とし、バリエーションの豊富さを消費者に示すことで、選ぶ楽しさも追求する姿勢を崩さない。
高騰が心配される原料大豆の確保では、「有機大豆、一般大豆ともに手配済みだが、今後は値段が問題となる。シカゴ相場は横ばいだが、為替が一番の問題になってくる。国産大豆は豊作なので、値段は下がってきているため、半年先までは手配をしている」と現状の課題を明かす。
〈マーケティングと商品開発、醸造技術部門が一堂に介するイノベーション会議を実施〉
ブランディングに関して林恭子本部長は、「有機みそは、無添加オーガニックみそ『こだわっています』に注力していく。じっくりと熟成させた赤系のしっかりとした味わいを発信していく。『麹の花』シリーズも有機みそだが、白系みその12割麹。有機でも味わいはそれぞれなので、ブランドごとの世界観をお客様に伝えていくことができればと考えている」とした。
また、マーケティングの新しい取り組みに関しては、「マーケティングは『選択と集中』と考えており、大きく発酵食品事業と、春雨スープなどの加工食品事業に分けている。従来のみそ3本柱『無添加』、『有機』、『国産』に加え、新たに「減塩2.0」(『CRAFT MISO 生糀』などの『新しいタイプの減塩』が対象)を足した4本柱を育てていく。製品開発においても、営業、マーケティング、生産も含めて、全部門で重点カテゴリを共有していく考え」(林恭子本部長)。
マーケティングと商品開発、醸造技術部門が一堂に介して実施しているイノベーション会議や、全社を巻き込んだ商品化プロジェクトから、新たな価値をもった商品が誕生している。今期からは商品提案制度の再開も予定している。
即席みそ汁では、ヒット商品となっている「味噌屋のまかないみそ汁」シリーズに「蔵出し寒熟白つぶみそ」を追加した。
林本部長によれば、「最速の配荷をみせている。9月に発売した『寒熟白つぶ』をもって、新規開拓と既存店への追加配荷を強化している。今期のシリーズ全体の売上は 130%を目指している。着実に定着するブランドに育てていく」とし、手応えを感じているようだ。
多食用はフリーズドライみそ汁を中心に好調だ。特に食数の多い商品は引きが強く、価格がお手頃なこともあり、付加価値型の商品と同様、好調な販売を示しているという。
輸出に関しては、「海外はみそ汁より、みそが売れる。米国や欧州でも生みその方が伸びている。みその発酵食品としての健康感に興味を持つ人が多いため。」(林社長)という。輸出の業績については、「円安の効果もあるが、売上130%。為替の部分を除去しても110以上を達成できると思う。要因は、コロナ収束につれて、日本食に対する需要が増えていること」とする。
全般的に好調な輸出だが、意外なところからの引き合いもあり、「中近東、モンゴルからの日本食の引き合いがある。ボリュームゾーンの業務用では、バンクーバーやトロント周辺からの引き合いも期待できる」としており、みその輸出量シェアは30%に到達、今後はさらにその先を目指すと宣言した。
〈大豆油糧日報2022年9月28日付〉