関西味噌生販協議会・土屋勇蔵会長「抱負は『継続』、会の強みは本音の情報交換、他の問屋との連携も」【新代表に聞く】
土屋勇蔵ジャポニックス社長は10月に関西味噌生販協議会の会長に就任した。
30年間業界をけん引してきた、父である土屋福蔵前会長(ジャポニックス会長)からバトンが継がれた。土屋会長は勇退し、常任相談役に就いた。また、関西みそPR委員長には芝本良隆氏(芝本商店社長)が就任。新体制が始動した。
抱負は「継続」だ。「当たり前にあるものではない。見直す機会になる。ただ、集まり自体は続けた方がいいと思う。PR活動もそうだが、関西でみその消費拡大のために何ができるか。全国に対して何が言えるか。集まってしっかり話すことは、業界の発展に貢献できる」と語る。
同会の強みは、本音の情報交換だという。「会長に事前に議題がきて、会で話すこともあった。会長から投げて広がることもある。ただ、これは父だからこそできたこと。求心力は、引き継いでできるものではない」としつつ、「製販協議会であり、他の問屋との連携もしっかりやりたい」とする。
土屋氏は長年、関西みそPR委員長を務め、みその普及活動に力を注いできた。
「20代の中にも、みそが身近な人、身近でない人がいる。PR活動を行ってきて、その効果を検証してもわからなかったが、20代、その下の世代の現状を見ると、PRは大事であり、怠ってはいけない」と強調する。
コロナ下でPR活動が思うようにできなかったことから、「イベントそのものが再開しても、試飲ができないなど制限、制約があり、費用対効果が見込めない。簡単ではないが、形をつくっていかなければいけない」と意気込みを述べる。
〈みそのおいしさを伝える、新たなみそのPRの形を模索〉
PR委員長時代の成果では、幼稚園の子どもにみそのおいしさを知ってもらう体験学習型イベントを挙げた。
「子どもが喜ぶだけでなく、ボランティアのみそメーカーも、新鮮な経験として、楽しんでくれていた。次世代にバトンタッチする上では、いい勉強になった。『あんふぁん』(幼稚園配布の雑誌)での掲載をきっかけに、希望する幼稚園もあった。みそに触れる経験は将来役に立つはず。こういった活動をたくさん行うことが、(普及に)効いてくる」と見通す。
みそが若い世代にとってソウルフードではなくなってきている可能性を指摘し、「みそのおいしさを伝えないといけない。おいしくないみそ汁を飲んだため、おいしくないと思っている人もいる。おいしいものを飲めばまた飲みたくなる」との考えを示す。
また、「食はオンラインでは意味がない」とし、試飲・試食の大切さを強調する。
「イベントでのテイスティングを地道にやることで、減退を止めている可能性がある。20代など若い人が並んで飲んでくれる。そのときは思わなくても、おいしいみそ汁を飲んだことで、将来つくりたいと思ってもらえれば」と期待を込める。
一方で、「従来のイベントがしにくい形が続くなら、SNS活用も考えていかなければならない。みそ汁をつくるインスタライブなら、試そうと思う人もいるかも」とし、新たなみそのPRの形を模索する。
【土屋勇蔵(つちやゆうぞう)会長プロフィール】
1974年1月10日大阪府生まれ。96年3月関西学院大学経済学部卒業。同4月ジャポニックス入社、98年4月営業企画室長、2002年4月取締役営業本部長、07年4月専務営業本部長、12年4月1日代表取締役社長に就任(現在)。22年10月関西味噌生販協議会会長に就任(現在)。
〈大豆油糧日報2022年12月8日付〉