【大豆加工品特集】豆腐は小分けタイプが伸長、簡便性や即食可能な商品が台頭、納豆はひきわりとフレーバーが好調
豆腐業界では原料コスト増が大きな課題だったが、2022年は主要メーカーが価格改定を実施したことで、適正価格販売に向けて大きく前進した。
総務省の家計調査によると、平均価格は4月以降プラスに転じ、10月は2ケタ増となった。支出金額も6月以降は前年を上回って推移しており、価格改定効果がうかがえる。
ただ、数量ベースでは市場全体で引き続き縮小傾向だ。ある豆腐メーカーではその理由について、豆腐や油揚げの調理バリエーションが限られていることや、消費者の調理離れ、主要購買層(50代以上)の消費の落ち込みを挙げている。
特に、カット豆腐(絹、木綿)は年々ダウンしており厳しい状況だ。その中で、小分けタイプは家族構成の変化を背景に伸長しているという。
充填豆腐も好調だ。買い物頻度が下がっている中、日持ちすることから買い置きができる点が受け入れられている。絹豆腐と食感が似ており、絹豆腐から充填豆腐に消費が流れているとの声も聞かれる。
大きく伸長しているのは、新カテゴリの商品群だ。2023年春夏新商品では、アサヒコは好調な「TOFFU PROTEIN(トーフプロテイン)」シリーズから、具材感があって手軽に食べられる「豆腐バー 蓮根と枝豆」などを新発売する。また、相模屋食料は「カルビのようなビヨンド油あげ」を発売する。
総菜系では、さとの雪食品も簡便性や即食に着目した「素材たのしむ 枝豆とうふ」と「素材たのしむ とうもろこしとうふ」を新発売する。「具材感をたのしむ」をコンセプトに味付きの豆腐に夏野菜を入れた商品となる。
さとの雪食品はまた、タレ付きで手軽に調理できる「揚げだし豆腐でつくるコク旨味噌炒め」、「揚げだし豆腐でつくるたまご丼」も新発売する。冷蔵庫にある食材を使い、付属のたれで簡単に味付けして10分で調理できる商品だ。
この路線では相模屋食料が「まかないめし」シリーズとして、主役を張れる「たまごでとじる はみだしきつね丼」と「たまごでとじる 揚げ出しとうふめし」の2品を新たに投入する。
〈納豆はひきわりとフレーバーが引き続き好調、要因は健康感やマンネリ解消ニーズ〉
2022年の納豆市場は、総務省の家計支出調査によると、前年比4.1%減の4217円となったものの、概ね2019年並みの水準となっている。「健康志向や簡便性から2023年は成長軌道に戻る」(納豆メーカー)とも予想される。
カテゴリ別では、国産が10月以降、金額ベースで前年を上回って推移した。ボリュームゾーンとなる輸入大豆使用のスタンダード商品は落ちたもようだ。2020年から構成比を伸ばしてきたフレーバー納豆は、落ち着きつつあるものの依然好調となっている。ひきわりについては、納豆市場全体が前年を下回った中、前年並みで推移した。
粒形別では金額ベースで10月以降はひきわりが大きく伸長し、小粒も好調な動きを見せた。フレーバー納豆の伸長要因について、納豆メーカーは「納豆は毎日食べる人も多く、シンプルな味わいだと飽きが来るのでは」と話す。ひきわり納豆については、別の納豆メーカーによると、大豆を割ることで発酵の表面積が増える関係でビタミンKが豊富に含まれるという側面がメディアで取り上げられて以降、伸長を続けているカテゴリだという。
〈大豆油糧日報2023年2月16日付〉