【次世代経営者の横顔】マルコメ・取締役副社長青木秀太氏、発酵にスポットライト、新しい価値観を捉える
みそに加えて、大豆のお肉、糀甘酒と、着実な成長を遂げるマルコメに新しい戦力が動き始めた。
青木秀太副社長は、マルコメUSAで6年間社長を勤め、グローバルなビジネス感覚を身に着けて帰国、2022年には全国甘酒輸出促進コンソーシアムの初代会長にも就任した。日本の伝統食品のさらなる認知拡大に奔走する。
「米国を通して、世界におけるみその大きな可能性を肌で感じた。日本食は現地の方に評価されている。もともと日本食に馴染みのあるアジア系の方や日本食レストランだけでなく、現地メインストリームのECやスーパーでも広く売れていく可能性を秘めている」と、発酵食品への注目が高まる中で、みその評価もステージアップしていることを強調する。
続けて、新型コロナにより生活環境が劇的に変ったことに触れ、「発酵にスポットライトが当たる時代となった。若い人のライフスタイルも変わった。食品メーカーにとっても、転換期となる。新しいライフスタイルと価値観の中で、お客様が求めていることをしっかりと捉えて、それに応えていくことにチャレンジしていきたい」と、みそメーカーにとってもチャンス到来であることを指摘する。
マルコメにとって、大きな収益の柱になりつつある糀甘酒と大豆のお肉には、「無限の成長の余地がある。積極的な海外展開を進めていきたい。特にアジアに関しては手応えを感じている。タイでは甘酒カフェを4店舗展開して、直接甘酒を飲んでもらえる機会を創出している。直接、おいしさと健康や美容効果を伝えられ、事業としても成長している」とし、現場からの反応に満足感をにじませる。国内でも、発酵食品をテーマにした店舗を三重県多気町にあるVISONと、阪神梅田本店にオープンしている。
〈生活者の反応を直接確認できるECにフォーカスして甘酒事業を展開〉
全国甘酒輸出促進コンソーシアムは2022年5月に設立された。「いち民間企業だけでできることは限られている。協力できることはしていきたい。まずは、生活者の反応を直接確認できるECにフォーカスして事業を展開していく」とする。
中国への輸出に注力し、その後中国以外のアジア圏や欧米圏へのプロモーションを開始するとしている。
「みそのような海外のお客様にとって全く新しい食品を取り入れていただくためには、それがどういうものなのかを正確に伝えなければならない。原料、製法といった商品に直結するこだわりはもちろん、自社の歴史や想いといった情緒的な部分もしっかりと現地のお客様にわかりやすく表現していくことに気を使っている。また、日本でおいしいからといって海外でもおいしいと受け入れられるかはわからない。そのため、現地の生活者がどんなライフスタイルでどんなものを日々食べているのかを知ることが大事だ。将来のビジョンとしては、土地土地の食文化と日本古来の発酵技術の融合により、しきたりやルールに縛られない、全く新しい食文化を創造したい」とし、現地に合わせた商品の開発に力を入れていくとする。
【青木秀太副社長プロフィール】
(あおき・しゅうた)慶大卒。米国ブランダイス大学大学院修了後、食品の輸入販売を経験。2012年マルコメに入社。MarukomeUSA, Inc.社長を経て2019年、取締役副社長。現在は、全国甘酒輸出促進コンソーシアム会長に就くほか、日本古来の発酵技術を世界各国の食文化に提案すべく活動中。
〈大豆油糧日報2023年2月27日付〉