井村屋グループ 三重県津市に新工場「あのつFACTORY」を稼働、豆腐などのSOY事業、輸出商品、EC商品など成長カテゴリーを強化
井村屋グループ(三重県津市)は3月13日、津市の中勢北部サイエンスシティ内に井村屋が新設した新工場「あのつFACTORY」を報道陣に公開した。
新工場は3月1日から順次稼働している。成長カテゴリーである豆腐などの「SOY事業」、豆腐・カステラなどの輸出商品、EC販売商品の供給基地として位置付け、生産能力を高める。新工場の所在地は、三重県津市あのつ台1-8-1(中勢北部サイエンスシティ内)。
また、スイーツ事業の「アンナミラーズ」「ラ・メゾン・ジュヴォー」の強化と、ギフト商品などの包装ラインの集約化を行う。新工場の生産規模は売上換算で40億円(SOY20億円、カステラ10億円、スイーツ8億円、EC2億円)を見込む。
AI・DXを取り入れコストダウンと生産性向上を図り、太陽光発電や大型蓄電のシステムの導入、SOY事業で冷凍おからの活用を促進するなど廃棄物ゼロの取り組みも進め、「環境にやさしく持続可能な夢のある食品工場」(井村屋グループ)を目指した。敷地面積2万1827平方メートル、建築面積7112平方メートル。従業員数約80人で、このうち半数を新たに雇用した。投資総額は設備・機械16億円。土地・建物は宝輪が所有し、井村屋は賃貸借契約を締結した。
井村屋グループの浅田剛夫会長は、「アフターコロナの市場の変化を見据えた上で、今までとは異なる生産拠点、販売拠点の出発点がこの工場だとの思いでスタートした」と強調した。井村屋の岩本康社長は「サステナブルな事業経営への象徴がこの新工場だ。既存売り場を大切にしながら、新しい売り場・買い場を創造する新しい商品を発信する。国内外への生産、出荷の拠点としてグループの成長を力強くけん引していく」と意気込んだ。
〈豆腐はレトルト製法を取り入れ、強みのロングライフを進化、国内外へ拡大〉
事務所や冷蔵庫、倉庫を除いた工場部分は4630平方メートルで、本社工場から順次移設する豆腐などSOY事業のスペースは約38%、米国向けの輸出が好調なカステラは約32%を占める。
豆腐は生産工程にレトルト製法を取り入れた。数十分という短時間で殺菌・冷却を行い、安定した品質とおいしさ、賞味期間180日のロングライフ(チルド)を実現した。レトルト設備は本社工場から移設する1台を含む4台を設置している。ロングライフ豆腐を国内はもちろん、香港などアジアへ拡大したい考えだ。
包装工程にはハンドリングロボットを導入した。冷凍おからの設備も備え、豆乳はグループで活用するなど、大豆を有効活用する。冷蔵で賞味期間180日を実現した「美し豆腐LONG SHELF LIFE 180」など20アイテムのほか、豆乳、おからなどの業務製品を生産する。約12億円の売り上げを、20億円へ拡大したい考えだ。
カステラは、固定窯相当の機能を持つ連続式オーブンを新たに導入した。新商品開発を活発化させ国内外の市場で拡大を目指す。また、海外商品の包装ラインを強化・効率化する。
スイーツ事業の「アンナミラーズ」、「ラ・メゾン・ジュヴォー」ブランドの商品開発、生産効率化を図るために品質の良い商品がつくれるレベントオーブンを導入し、店舗内外へ販路を開拓する。そのほか、菓子関連の進物・単品詰め合わせ包装自動化ラインを導入、伸長するネット通販の梱包効率の向上を図る。
環境への配慮では、工場屋根全面に太陽光パネルを導入し、1200キロワットの大型蓄電装置で太陽光電力を最大限活用するほか、災害時にも対応できる。夜間の氷で昼間の電力負荷低減を図れるアイスバンクシステムも導入した。DXでは、設備の運転データの収集、可視化などにより生産性向上を図る。
〈大豆油糧日報2023年3月16日付〉