不二製油グループ、独自技術「ミラコア」に関するセミナーを大阪で実施、植物性素材で“動物性のおいしさや満足感”、料理人による活動例を紹介
全日本・食学会主催の「第6回食サミット」が3月19日、「REBORN~リボーン~」をテーマに大阪市内で開催された。
不二製油グループ本社などは、「植物性『超』動物感~油脂とたん白がおりなす味覚革命~」と題したプログラムを実施した。植物性素材で動物性食品ならではのおいしさや満足感を実現する「MIRACORE(ミラコア)」という不二製油の技術と、料理人によるミラコア素材の活用法を紹介し、プラントベースフード(PBF)の可能性を発信した。その中で、今後製品化を予定しているミラコア製品の「植物性牛出汁」、「植物性鰹出汁」を体感できる試食を行った。同プログラムには、料理人、食品メーカー関係者など約80人が参加した。
不二製油グループ本社は人間が感じる満足感の源を科学的に探究し、その結果、動物性原料に頼らないおいしさのコア技術として、ミラコア技術を開発した。現在、食のプロとコラボし、満足感のあるおいしさなどを備えた未来のPBFを創る活動をしている。また、4月1日付で不二製油の経営企画部門に「風味基材事業開発部」を新設し、ミラコアの技術を活用した製品群で新規ビジネスを立ち上げていく。
今回のプログラムでは、認知科学、実験心理学を専門とする立命館大学食マネジメント学部の和田有史教授が講義を行った。和田教授は「ミラコアを評価する仕事をしていたが、ミラコアがとても良かったことから、シェフに食べてもらい、新しい食品を創り出してもらえればと半年ほど活動し、今回披露するためにこの会を設けた」と経緯を話した。
フランスの味覚教育の第一人者であるジャック・ピュイゼ氏の言葉を引用し、「『Aliment』(アリメント=摂取することで人間の感覚を刺激し、精神を養う食べ物)としての植物性食品を実現する素材としてミラコアに期待している」と力を込めた。さらに認知科学の観点から、「人は損をすることが嫌である。植物性食品で動物性食品ならではのおいしさが実現できれば、食べなきゃいけないから、食べなきゃ損、食べたら得をする食品になる。植物性食品でしか成しえないおいしさを目指し、不二製油とシェフらと創出したい」と意欲を示した。
続いて、不二製油グループ本社未来創造研究所の富研一氏が、ミラコアの技術を解説するとともに、今後の可能性を示した。動物性に対して植物性は満足感が不足する、満足感の違いは油脂とたん白にあると考え、同社強みの油脂とたん白を複合的に組み合わせることで、満足感を取り出すことが可能になったと説明。
富氏は「油脂とたん白にこだわって風味基材をつくっている。代替食はゴールではなく過程だと考えている。(ミラコアは)あらゆる食品に加えられる。食品企業、シェフらのさまざまなニーズに対応できる。植物は成分、色素が多様である。これに動物性らしい満足感を加えると、新しい食品・料理が可能になる。次世代のおいしさを考える皆さんと共創したい」と強調した。
〈製品化を予定しているミラコア「植物性牛出汁・鰹出汁」を披露〉
試食では、更科そばの名店「更科堀井」(東京・麻布十番、堀井良教社長)の「『超』肉南蛮そば」(植物性鰹出汁、大豆ミート、そばのつなぎに豆乳クリームを使用)、塩ラーメン専門店「龍旗信」(大阪府堺市、松原龍司店主)の「『超』塩ラーメン」(植物性鶏出汁を土台に野菜だし、塩だれ、香味油を合わせた。麺は米粉100%)、ヴィ―ガン・プラントベース調理の第一人者である杉浦仁志氏(ONODERAGROUP)による「『超』動物感ソース」(植物性牛出汁をベースにしたデミグラスソース)を提供。それぞれ料理人の視点からミラコア素材の活用法を説明した。
希望者に対して、「植物性鶏出汁」を使った清湯スープ、「植物性パイタン」を使った白湯スープ、「植物性牛出汁」を使ったフォン、「植物性鰹出汁」の試飲を行った。植物性牛出汁と植物性鰹出汁は製品化を予定している。
〈大豆油糧日報2023年3月22日付〉