Jオイルミルズ、植物性チーズ「ビオライフ」展開、おいしさ実感できる試食販売で理解度向上【未踏のマーケティング】
〈健康面や環境負荷低減、アレルギー特定原材料等28品目不使用も訴求〉
J-オイルミルズは、プラントベースフード(PBF)の植物性チーズ「ビオライフ」の理解度を高める取り組みを進めている。
スペシャリティフード事業本部乳系PBF事業統括部家庭用事業部の石田剛家庭用マーケティング部長は、「PBFの市場は伸びてはいるが、ボリュームはまだ大きくはない。植物性チーズというカテゴリについて、まだ生活者への理解促進の取り組みが不十分だ」と課題を挙げる。
石田部長は「ビオライフ」を、おいしさにこだわった製品と強調する。「2021年9月に発売したが、コロナ禍のため、一番の特徴であるおいしさを実感していただける試食などの活動ができなかった。ようやく5月になって、流通店頭での試食販売が解禁になった。まずは『おいしい』ということを分かってもらい、更なる価値として健康面や環境負荷低減と併せて、アレルギー特定原材料等28品目不使用であることも訴求していく」と方針を語る。
また、「ビオライフ」は通常の乳製品と比べ、生産から廃棄までのライフサイクルにおけるCO2排出量が30%以下、土地専有面積も25%以下に抑えており、環境負荷が少ない。6月5日「環境の日」には、「食べるサス活」プロジェクトを立ち上げ、医学研究科大学院教授や内科クリニックの医師、シェフ、タレントらが登壇し、記者発表を実施した。植物性の食生活に切り替えることの意義やメリットを発信することで、環境負荷低減と健康価値を伝えた。
〈まず喫食率16%を超える、シュレッド2品は静岡でシュレッディング・包装〉
PBFの普及を目指す一般社団法人PlantBased Lifestyle Lab(Pラボ)は2022年10月に、2万人規模の調査を行った。それによると、PBFの認知率は39%程度で、約11%しか喫食経験がなく、大半は植物性肉だったという。石田部長は、「PBFマーケットのボリュームや位置付けが変わるティッピング・ポイントがあると思っている。イノベーター、アーリーアダプターからマスになるキャズム(16%)を超えるかどうか、16%を超えてきて初めて、ティッピング・ポイントを迎える可能性が高まる。今年はまず喫食率16%を超えるところが一つのポイントで、試食販売などで理解度を上げることが重要な一年になる」と語る。
「ビオライフ」は現在、「植物生まれのチーズ シュレッド チェダータイプ」、「植物生まれのチーズ シュレッド モッツァレラタイプ」、「植物生まれのチーズ とろけるスライス モッツァレラタイプ」(5枚入)、「植物生まれのチーズ ブロックスモークタイプ」、「植物生まれのクリーミィ」の計5品をラインアップしている。
売上構成比が大きい主力商品はシュレッドの2品だ。「パンに乗せて焼くほか、ピザやサラダにも使え、カレーなどにも入れられ、使用用途が広い」と好調な理由を説明する。
「ビオライフ」は発売時から、いずれもギリシャで製造・包装し、冷蔵コンテナで輸入していたが、2022年秋に静岡事業所へシュレッド用の設備を導入し、リニューアル発売以降のシュレッド2品については輸入した原木タイプのビオライフを静岡でシュレッディング・包装している。「日本の生活者に最適なサイズ、包材を使って鮮度のいい商品を提供することが狙いだ」と述べる。
〈大豆油糧日報2023年6月13日付〉