【マーガリン特集】2022年度はコスト抑制ニーズ高まる、販売金額は家庭用値上げ影響で10月以降前年超え
マーガリン類(加工油脂) の2022年度販売数量は、最終商品のダウンサイジングや、消費者の節約意識の高まりなどにより、前年から下振れした。その中で、家庭用は値上げにより、2022年10月以降は金額ベースで前年度を超えた。業務用は、人流が回復したことで、土産菓子や外食の需要が増加した。
家庭用マーガリンは、2022年度は国産バターの出回り量が増え、マーガリンにとっては逆風となった。インテージSRI+によると、マーガリン市場は容量ベースで前年比10%減だった。カテゴリ別でみると、プレーンタイプは10%減、ヘルシータイプは11%減、グルメタイプ(バター風味・バター入り)は9%減、ケーキ用は21%減と、いずれも苦戦した。
金額ベースでは前年度を下回った。レギュラー(プレーン)の小型タイプは、値ごろ感があることから拡販を図り、前年度を大きく上回った。一方、リッチタイプ(グルメタイプ)の大型タイプは前年度を下回った。一部商品の価格改定幅が大きかったことで購入数量が減り、カテゴリ全体で引き下げられた格好だ。
2022年9月には明治、雪印メグミルク、J-オイルミルズなど各社が値上げを実施した。これにより、下期(10月頃)から金額ベースで前年同期を超えるようになり、「市場が大きく変化した」という声も聞かれる。
要因についてメーカーは、同時期にチーズやスプレッド、マヨネーズ、ジャムなどが値上げされ、消費者が相対的にコスパの良さを感じたのではないかと推測している。
今期は各社、主力商品に力を入れるのはもちろん、他のカテゴリの商品を育成し、定番商品として定着させる考えだ。
〈業務用はコストダウンと機能性を両立した製品開発、ラードや卵の代替需要にも対応〉
業務用加工油脂の2022年度は、原材料費やエネルギー費など各種コストの上昇や、最終製品のダウンサイジングに伴う使用量の減少などを要因に、依然厳しい状況だった。単価が高い副原料の値上げもコストを圧迫した。しかし、国内の人流やインバウンドが戻ってきたことで、土産菓子や外食が回復に向かっている。
各社、プラントベースフード(PBF、植物性食品)製品に注力し、中でも植物性ラードの引き合いが強かった。ウクライナ侵攻による飼料価格の高騰や、豚熱の流行などを背景にラードが不足し、代替需要が高まったことが要因となっている。
2022年10月頃から鳥インフルエンザが拡大し、卵が不足した。現在、在庫は落ち着いてきているものの、価格は高騰している状況だ。各社は、植物性カスタードや、卵と置き換えられる機能性素材、パン生地に卵を塗ったようなツヤを出すクリームなどで、卵代替のニーズに対応する。
メーカーによると、原料の高騰により、最終商品のダウンサイジングのほかに、配合の見直しや、コストを抑えた新商品を開発する傾向があるという。このような状況をふまえ、コストダウンと機能性を両立した製品を開発し、対応していく。例えば、品質の向上や賞味期限延長に寄与しつつ、高濃度タイプにすることで少量の添加で済み、コスト抑制につながる。また、保管時の省スペース化や、包材の廃棄量を減らせるといった利点もある。
〈大豆油糧日報2023年6月16日付〉