みそメーカーの海外展開、マルコメはみそ・大豆のお肉・甘酒の3本柱、ヤマカノ醸造「ガーリックみそだれ」、マルマン「金山寺みそ漬の素」
みそメーカー各社は、海外向けに自社の商品をアレンジしてさらなるみそや関連商品の売り込みに力を注いでいる。
マルコメは、ペースト、液状、顆粒といった3つの形態のみそをそろえ、中でも顆粒みその輸出拡大に期待を寄せている。マーケティング本部の岸直人部長は、「顆粒みそは保存期間も長く、手を汚さず使えるので扱いやすい。小売での引き合いも強いが、弁当に添付するみそ汁として使いたいというオーダーが韓国や中国からきている。とても可能性を感じる商品だ」とし、他社にはない差別化ポイントの提案に力を入れる。
マルコメの強みはみそのバリエーションの多さもさることながら、「大豆のお肉」や「甘酒」といった強力なアイテムを持っていることが挙げられる。岸部長は、「『大豆のお肉』はナチュラルな素材を使っていることもあり、海外でもすでに浸透しつつある。レトルトタイプのキムチ味の大豆のお肉は海外向けの戦略商品となる。日本では発売していない、てりやき、やきとりといった日本らしい味付けの商品も海外向けの商品として展開していく計画だ」とし、日本らしさを感じてもらえるメニュー展開にも力を注ぐ。
甘酒の輸出拡大も計画中だ。「甘酒は日本の飲み物として注目されている。お米でできており、ノンアルコールでノンシュガーだ。国内では飲む以外にも砂糖の代わりに料理にも使っていただいている。また、海外の人は砂糖を使っていないのに、その甘さに驚く。ナチュラルかつ天然の甘さに注目が集まっており、甘酒と似た飲み物がある韓国や中国などからの引き合いが多くきている」とする。甘酒は欧米、欧州にも広げていきたいとし、「海外向けに、糀や発酵に焦点を当てたネーミングを考えている」と販売方法も含めて思案中だ。
甘酒を濃縮することから生まれた植物由来の「糀みつ」にも「チャレンジしたい案件がいくつかきている。料理用として可能性があり、海外では糀シロップとしての展開を考えている」とした。
〈ヤマカノ醸造は「ガーリックみそだれ」、マルマンは甘口「金山寺みそ漬の素」を海外展開〉
宮城県のヤマカノ醸造では、みそのコクとにんにくの香り、ピリッと粗びき黒こしょうが食欲をそそる「ガーリックみそだれ」の輸出拡大に注力している。
ヤマカノ醸造の鈴木彦衛社長は、「サラダにかけて食べていただける。とんかつソースやハンバーグソースに混ぜて使っていただいてもおいしい。オリーブ油と塩こしょうを合わせればカルパッチョにも使える。発酵調味料でアレンジしたもので料理が作れることが最大の売り」とし、輸出拡大にも意欲的に取り組んでいる。
また、「業務用、加工が得意な会社なので、5gのミニパックから大きい斗缶まで、最低ロット200kg で受けられることもアピールしていきたい」とし、さまざまなオーダーにも柔軟に対応できる体制も特徴のひとつとして、海外業者に訴求していきたい考えだ。
長野県のマルマンは「金山寺みそ漬の素」の海外向け製品を商品化し、輸出拡大に挑む。「塩辛いと海外の人には受け入れてもらいにくいので、甘口タイプの金山寺みそを開発した。化学調味料無添加であることも前面に出しながら、海外への販売を強化していきたい」としている。
〈大豆油糧日報2023年6月23日付〉