オリーブ油2023年度価格、欧州は2年連続の不作が懸念、各メーカー10月に価格改定
2022年、欧州は熱波と干ばつの影響でオリーブが大不作となった。最大産地のスペインは本来、豊作となるはずの表年(おもてどし)だったにも関わらず生産量が半減し、コスト環境は一気に悪化、2022年7月に価格改定が行われ、一部メーカーを除いて2023年3月にも価格改定が実施された。
ところが2023年も欧州の主要産地で降雨不足が続いていることから、2年連続の不作が懸念され、オリーブ油の価格は過去最高を更新するほど高騰している。実際、輸入通関を見ても、エクストラバージン(EV)オリーブ油のkg当たりの単価は上昇し続けており、2023年6月時点で943円と、2022年同月の657円から大きく上昇している。安定供給を続けるための適正価格を実現するため、製油メーカー各社は2023年10月の更なる価格改定を発表した。
そういった環境下、家庭用オリーブ油市場だが、2022年度(2022年4月~2023年3月)は金額ベースで前年度比1.4%減の410億円となったと見られる(日清オイリオグループ推定)。
ただ、重量ベースでは2ケタ減とのデータもあり、2023年度の4~6月では、直近の価格改定の実施もあり、「さらに金額と重量の開きが出た」(製油メーカー)と分析されている。
健康イメージが定着したオリーブ油は、製油メーカー各社の地道な取り組みによって右肩上がりで拡大し続け、いまやトップクラスの油種にまで成長した。コロナ禍での内食需要の高まりの反動や価格改定による単価上昇もあり、2021年、2022年は減少に転じた。
とはいえ、「世帯購入率は調味料の中でもかなり高い」(製油メーカー)というように、2022年も引き続き50%を超えており、根強い需要があるのは間違いない。
〈新たな需要喚起、求められるのは健康感、和食との組み合わせ提案目立つ〉
2023年度は、「2年連続の大不作は想定していなかった」(製油メーカー)というように、適正価格の実現に向け、更なる価格改定を余技なくされる中、各メーカーが取り組むのは新たな需要喚起だ。
洋食と合わせるイメージの強いオリーブ油だが、2023年度の販促では、和食との組み合わせを提案する動きが目立つ。利便性の高い紙容器の特性を生かし、キャンプ需要を開拓する販促も行われている。
価格改定によって中容量の価格は店頭で1000円を超えてくるのは確実だ。そこで各メーカーは、絶対売価が低い300gの販売に力を入れるとみられる。
オリーブ油に求められるのは、味や香りよりも健康感という調査結果がある。エクストラバージン油よりも辛みや苦味が抑えられた軽いタイプのオリーブ油は和食にも合い、EVオリーブ油にキャノーラ油をブレンドした商品も、値ごろ感から販売が伸びているという。こういったオリーブ油の健康感を維持した商品が、価格改定の影響をカバーすることにつながりそうだ。
〈大豆油糧日報2023年8月22日付〉