アメリカ大豆輸出協会、大豆アニメを全世界に向けて発信、日本の食品大豆の7割は米国産と周知

アメリカ大豆輸出協会・大豆アニメ「SOY STORY ~ソイとだいずな仲間たち~」
アメリカ大豆輸出協会・大豆アニメ「SOY STORY ~ソイとだいずな仲間たち~」

アメリカ大豆輸出協会(USSEC)は、日本の食品大豆の7割が米国産であることを改めて周知させるため、大豆アニメを制作し、全世界に向けて発信を開始した。

今後は、大豆業界向けのイベントにも積極的に参加し、業界団体とも連携しながら大豆が有する健康・栄養面についての情報発信を強化していく。

USSECは、サステナブルな農法で育てられた米国大豆を、安全・安心に各国に届ける認証を受けた仕組みSSAP(米国大豆サステナビリティ認証プロトコル)を2013年に制定している。そのSSAP認証マークを付けた日本の大豆食品は着実に増えており、新卒採用時に環境意識の高い学生に対し、サステナブルな活動に取り組む企業としてアピールできることを提案する。立石雅子日本副代表に今後の活動方針について話を聞いた。

アメリカ大豆輸出協会・立石雅子日本副代表
アメリカ大豆輸出協会・立石雅子日本副代表

7月20日にホームページ上で、若年層向けの大豆アニメ「SOY STORY ~ソイとだいずな仲間たち~」のエピソード1「はじめてのともだち広がる大豆の輪」を公開開始した。学校が舞台となっており、米国から大豆のキャラクター「ソイ」が転校してくるというストーリーで、大豆の奥深さやサステナビリティについて分かりやすく伝える内容だという。エピソード3まで段階的に公開していくことが決まっている。

立石副代表は、「目指すのは国内だけでなく海外を視野に入れた日本発信だ。大豆の食文化の多様性や革新の部分も伝えられる内容を目指した」と狙いを語る。Z世代やミレニアル世代に向けたもので、若い製作チームの視点を反映したといい、声優や脚本家、アニメーションのデザイナーはそれぞれの分野で活躍する複数の候補者から選定し、一緒にディスカッションしながら進めるなど、クオリティにこだわった。

2022年には、若年層に向けたミステリー仕立てのドラマを制作し、第3弾までウェブ上で公開した。サステナビリティに関心を持つ役者を起用し、SSAP認証の説明を交えて、米国大豆がサステナブルな農法で作られていることも盛り込んだ内容だった。

「サステナビリティについて、いきなりは伝わらないという意見があった。今回のアニメでは、まずはとっつきやすい内容を考えた。日本の食品大豆の7割は米国産が使われていることは一般消費者には知られていない。米国農家は日本向けに、安全・安心な大豆を作っており、健康にも環境にも良い課題を解決する食材だということが伝われば」と期待する。

〈業界向けのイベントも展開、大豆が人と地球の健康に貢献することを再定義〉

こういった若い世代向けのアニメを展開しつつ、今後は大豆業界向けのイベントも展開していく。6月にオンラインで開催したシンポジウム「大豆が拓く持続可能な未来」では、大豆と健康をテーマにした講演を発信したが、USSECはこれまで、大豆と健康についてのセミナーを何度も実施してきたという。

特に、全米大豆基金財団(USB)が資金を調達する米国の大豆機能研究会(SNI)が2020年に世界大豆機能研究会(SNI-Global)と名称を変更し、グローバルに連携して活動していく方向に転換したことは再契機となった。

「米国内での消費は限られるが、世界で大豆を圧倒的に食べているエリアはやはりアジアだ。そこでUSSEC日本とも連携して発信していくことになった」。同研究会は2022年末、東京での開催となった世界栄養学会に合わせ、世界中から集まった数千人の栄養士に対し、大豆の栄養について発信講演を行った。

立石副代表は、「今後どういった最適な方法で発信をしていくかは模索中だ。豆腐や納豆の業界団体との連携ができたらよい。日本人にとっては身近な大豆が人と地球の健康に貢献することを再定義するためのデータやストーリーも必要だ」と述べる。

講演したマーク・メシーナ栄養科学・研究ディレクターは現在、米国の大学の皮膚科専門医との連携で大豆と美肌に関する臨床データを取得しているという。米国農家全米大豆基金財団が研究資金を出した研究となり、「そのエビデンスが強力なものだったら日本でも発信したいと意気込んでいる」という。

フランスに本部を置くザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)は6月、「グローバル・サミット京都2023」を開催した。サステナビリティのトレンドを掴むため、日本を含む世界の大手食品メーカーや流通企業のトップが集まり、USSECのジム・サッターCEOも参加した。CGFは、世界中の消費財のリテーラーとメーカーを結集する唯一の国際的な消費財業界団体で、70カ国以上の約400社が加盟している。日本からは小売企業、食品・消費財メーカーを中心に64社が加盟している。

「USSECもメンバーとしてもっとCGFにエンゲージしたいと考えており、今後は関係者に農家の取組みを知ってもらうために農場ツアーなども開催できればと考えている」と述べる。来年のグローバル・サミットは米国・シカゴでの開催が決まっている。

〈SSAP認証はしょうゆ・豆乳・大豆油への発展期待、新卒学生へのアピールポイントに〉

環境への負荷が少なく、サステナブルな方法で生産・管理された大豆であることを示すSSAP認証マークはすでに、相模屋食料やアサヒコといった大手豆腐メーカーの一部商品に付けられているが、現在新たに大豆を原料とする食品企業3~4社からSSAP認証の大豆を使っていることの公表に関する打診を受けているという。

大手小売企業ではセブンイレブンを含むセブン&アイ・グループがプライベートブランド(PB)の「豆腐バー」に認証マークを付け始めたが、新たな商品開発も着々と進められているようだ。納豆業界、みそ業界でも認証マークが付いた商品が販売されている。今後はしょうゆや豆乳、大豆油、代替肉など大豆製品全体に発展していくことが期待できる。

SSAP認証マーク付き大豆商品
SSAP認証マーク付き大豆商品

SSAP認証マークを付けることの利点として、「企業がサステナビリティの取り組みをしているかは、新卒採用の面接時に学生が興味のあるポイントの1つになっていると言われることが増えた。SSAP認証のマークを付けることで、森林伐採せずCO2排出をおさえて作られた環境にやさしい大豆を調達しているメーカーだということが証明でき、学生へのアピールポイントになる。ぜひツールとして活用してほしい」と話す。

なお、2023年のアメリカ大使館独立記念日レセプションにおいて、駐日米国大使ラーム・エマニュエル氏は、アサヒコの最先端製品、SSAPロゴ入りの持続可能な大豆を使用した「TOFU BAR」を来賓に振る舞った。「アメリカ大豆やアメリカ食品の素敵なショーケースとなった」としている。

アメリカ大使館独立記念日レセプションで振る舞われた「TOFU BAR」
アメリカ大使館独立記念日レセプションで振る舞われた「TOFU BAR」

〈大豆油糧日報2023年8月23日付〉

媒体情報

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大豆と油脂・大豆加工食品の動向を伝える日刊専門紙

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大豆から作られる食用油や、豆腐、納豆、みそ、しょうゆを始めとした日本の伝統食品は、毎日の食卓に欠かせないものです。「大豆油糧日報」では、発刊からおよそ半世紀にわたり、国内外の原料大豆の需給動向、また大豆加工食品の最新情報を伝え続けております。昨今の大豆を巡る情勢は、世界的な人口増大と経済成長、バイオ燃料の需要増大により、大きな変化を続けております。一方で、大豆に関する健康機能の研究も進み、国際的な関心も集めています。そうした情勢変化を読み解く、業界にとっての道標となることを、「大豆油糧日報」は目指しています。

創刊:
昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
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