【大豆加工品の市場動向】豆腐は値ごろ感と付加価値商品で需要が二極化、納豆は若年層向けパッケージデザインや差別化商品を展開
豆腐・納豆市場の2023年1月~6月の動向は、数量ベースで豆腐は前年比約5%減で進捗し、納豆は前年実績を維持しているもようだ。
いずれの市場も、国産などの付加価値商品が評価されている。メイン購買層の年齢が高いことから、若年層のユーザーを確保するために、豆腐では、植物性たん白質を摂れることをうたった新たなカテゴリを展開し、納豆ではパッケージデザインやコンセプトに力を入れているメーカーが多い。
豆腐市場のカテゴリ別では、小分け豆腐が引き続き好調だ。その要因について、フードロスに対する関心の高まりや、家族構成の変化によるものと考えられる。このトレンドを受け、小分け8個タイプの新商品を発売するメーカーも見られる。日持ちする充填豆腐も引き続き堅調だ。
加えて、小容量ニーズも高まっており、さとの雪食品から「鍋八」の半丁タイプ、おとうふ工房いしかわから絹豆腐・木綿豆腐の半丁豆腐が発売される。
味付きの風味豆腐も、すぐに食べられる簡便性が注目され好調だという。
付加価値商品では、海外産の大豆を国産に切り替えた豆腐や、具材入りの風味豆腐、油揚げでは消泡剤不使用の商品などが今秋から展開される。
SDGsに目を向けてみると、減プラスチックの豆腐容器を採用した商品や、フードロス削減に貢献するロングライフ、SSAP認証を取得した商品などが既に登場しており、市場で受け入れられている。
これらの傾向から、値ごろな商品と付加価値商品にニーズが二極化した印象があり、「消費者の見る目がシャープになった」と指摘する声もある。
油揚げに関しては、ダウントレンドの中、油抜き不要でそのまま使えるきざみ揚げが伸長している。
コスト面では、原材料費や燃料費、電気代の高騰に加え円安進行を受け、各社が2022年から2023年春にかけて価格改定を実施したが、コスト上昇分をカバーしきれていない状況だ。
〈納豆は若年層向けパッケージデザインや差別化商品を展開〉
納豆が前年実績を維持している要因は、食品全般が値上げした中、元々安価で値上げ幅が小さかった納豆に消費者が値ごろ感を感じたのではないかと推測される。また、コメの価格が安定していることを背景に、和日配(小売りに毎日配送される商品のうち和風のもの)の需要が戻って来ているとの意見も聞かれる。7月にはテレビ番組で納豆が取り上げられ、大きく反響を呼んだようだ。
カテゴリ別では、金額ベースでフレーバー納豆が前年並、ボリュームゾーンのスタンダード納豆は前年を下回り、ひきわり納豆は好調を維持している。
ひきわり納豆は、引き続き好調カテゴリとなっている。大粒大豆のひきわり納豆が発売されたことで、ひきわり納豆にもバリエーションが出てきている。
納豆は、メーカーによると、売れ筋が固定されている上、納豆とたれのみで構成されていることから変化をつけにくいという課題を抱えているという。
タカノフーズでは若年層に向けて「韓国風甘辛たれ納豆」を、太子食品工業では健康と食感に着目した「六穀納豆」、「オーツ麦入り国産ひきわり納豆」をそれぞれ9月から発売し、差別化を図っていく。
もう一つの課題でもある納豆の購入層を広げるため、若年層向けのパッケージデザインで新商品を展開しているメーカーが多く見受けられる。
〈大豆油糧日報2023年9月11日付〉