「アルゼンチン産オリーブオイルセミナー」開催、『早摘みでフレッシュ、保存性優れる』/アルゼンチン大使館
アルゼンチン共和国大使館は10月3日、「アルゼンチン産オリーブオイルセミナー」を開催し、輸入商社などの約30人が出席した。
アルゼンチン産オリーブ油に関する講演では、最先端の技術を生産に取り入れており、早摘みを行うのでフレッシュなオリーブ油で保存性に優れているのが特徴であること、収穫が早いと翌年の開花条件が良くなるため、収穫量も安定する利点があることなどを挙げた。
講演後にはアルゼンチン産オリーブ油テイスティングが行われた。開会のあいさつでエドゥアルド・テンポーネ大使は、「アルゼンチンは長い歴史のあるオリーブ油の生産国だ。2009年から国際オリーブ評議会のメンバーでもある」と紹介した。
講演は、オリーブオイル生産・品質基準が専門の農学者で、日本オリーブオイルソムリエ協会客員教授のパブロ・カナマサス氏が行った。同氏によると、アルゼンチンは南半球の主要な生産国で、国際オリーブ協会にも加盟している。生産量の50%は米国に輸出しており、テーブルオリーブは第5位の輸出国、第6位の生産国だ。最先端の技術を取り込んでいるのが特徴で、果樹園は近代化しており、かんがい設備も整っているという。
アルゼンチンの気候の特徴については、「国土が広く気候が多様なため、多様なオリーブ油を生産できる」とした。生産面積は10万5,500ha で、テーブルオリーブの生産量は7万8,000t、オリーブ油の生産量は2万4,000tだ。土壌が肥沃で生産性が高く、最大生産国であるスペインの単収が500kg/ha であるのに対し、アルゼンチンの単収は1,800kg/ha と大きく上回っていることを強調した。
アルゼンチンのオリーブの生産の特徴は、早い時期に収穫することだ。「早摘みのオリーブ油の利点は保存性に優れ、口と鼻に良い風味を残してくれる」と説明する。また、早く収穫を終えると次の年の開花の条件が良くなり、収穫量も安定するという。アルゼンチンは南半球に位置し、北半球の生産国とは収穫シーズンが逆になるため、北半球のオフシーズンに生産可能であることも利点だとした。
収穫では25%の実は手摘みしている。テーブルオリーブの場合は手摘みでなければならない。残りの75%の実はオリーブ油を作るために機械で収穫する。機械で収穫する利点について、「果樹園の全ての実を早く収穫でき、フレッシュなオリーブ油にできることだ」と語った。
もう一つの生産の特徴として、多くの品種が取れることを挙げる。テーブルオリーブ用の品種にはアスコラノテネーラ、アラウコなどがあり、オリーブ油の専用品種はアルベキーナ、アルボサーナ、コラティーナがある。両方に使われる品種はシャグロットリアル、ピクアル、オヒブランカがある。「地域によってさまざまな味わいがある。テイスティングではメンドーサ州、ブエノスアイレス州、カタマルカ州、サンクワン州の4地域を試飲してもらう」とした。
〈「OLIVE JAPAN」で2年連続最優秀賞のオリーブ油をテイスティング〉
続いて、日本オリーブオイルソムリエ協会の多田俊哉代表理事により、テイスティングと各オリーブ油の説明が行われた。
用意されたアルゼンチン産のオリーブ油4種類のうち、メンドーサ州のオリーブ油について、「現時点でアルゼンチンの最高のオリーブ油」と紹介した。ズカルディというワインで有名な会社のオリーブ油で、日本オリーブオイルソムリエ協会が主催する国際オリーブオイルコンテスト「OLIVE JAPAN」で2年連続最優秀賞を受賞している。「アルゼンチンの出品は増えている。まだまだ最近のことで発展の渦中にある。今後もアルゼンチンの優秀な生産者は出てくる」と期待を寄せた。
パブロ・カナマサス氏は、「今回テイスティングしたのは早摘みのオリーブ油だが、早摘みは生産者にとって残念なこともある。熟した方が歩留まりはいい。アルゼンチンでは搾油率が悪くても、フレッシュなオリーブ油を作っている。量ではスペインに勝てないので、アルゼンチンが目指すべきは質だ」と強調した。
〈大豆油糧日報2023年10月6日付〉