全国豆腐連合会、「第7回全国豆腐品評会」受賞者によるパネルディスカッションを実施、豆腐作りのこだわりを語る
全国豆腐連合会(全豆連)は10月28日~29日に名古屋クラウンホテルにて開催した「第7回全国豆腐品評会」において、表彰式および受賞者によるパネルディスカッションを行った。
「寄せ豆腐」で最優秀賞「農林水産大臣賞」を受賞したむさし屋豆腐店の名古屋直登氏は、「この場に立てるのは、自分の力ではなく、良質な大豆を作って下さる農家や、にがり生産者、機械メーカー、大豆屋、豆腐マイスターの方々、お客様、家族など、さまざまな人の力添えがあってこそだ。今後も期待に沿えるよう、現状に甘んじず、心に残るような豆腐作りを目指し頑張りたい」とコメントした。
表彰式後、受賞者3人によるパネルディスカッションが行われた。登壇したのは、むさし屋豆腐店の名古屋氏、「日本の絹ごし 華」のおとうふ工房 くすもと食品の北野広氏、「こいまろ。PREMIUM」の村のおっさんの桑原年朗氏の3人。司会は、日本豆腐マイスター協会の磯貝剛成代表理事が務めた。
〈東田会長「豆腐品評会を活用し、プライドを持って豆腐作りに取り組んでほしい」〉
普段の豆腐作りのこだわりについて、名古屋氏は「大豆の個性を生かすようにしている。大豆の浸漬時間や、煮方、寄せる際の温度帯、にがりの組み合わせなど色々あるが、一番気にしているのは加水量だ。それによって豆乳の質感が分かってくる。加水量を極力同じようにして、大豆の個性を見極めるようにしている」と語った。
北野氏は、「豆腐のパッケージの見た目にこだわった。同じ中身でも、よりおいしく見えるようなパッケージがあると思う。また、にがりを複数ブレンドし、特性を生かしながら使用している。にがりにも各地の味があると思うので、さまざまな土地のものを使っている」と述べた。にがりは3種ほどブレンドして使用しているという。
桑原氏は、「濃度が高い豆乳を普通に炊くことは難しい。そこで大豆を半分に分け、半量の大豆を砕いて生絞りにして炊く」という。この工程でできた豆乳を使い、水の代わりに豆乳で豆を擦る。これにより、「おからの量が半分に減るため炊きやすくなる」と説明する。
続いて、磯貝代表理事から、「品評会についてどう思うか」と質問が投げかけられた。第1回目から品評会に参加してきた桑原氏は「過去にも充填豆腐で受賞したことがあるが、嬉しかった。スーパーでも取引先が増えた。ここまでやってこれたのは品評会のおかげだ。受賞後、価格を250円から380円に値上げしたが、販売量は変わらなかった」と述べた。
北野氏は、「売価を約400円に設定し、移動販売していたが、値段が高いため売れ残ることが多かった。そこで売れ残りをお客様に配っていたが、次第に味が評価され、取り合いになることもあった。そのタイミングで昨年受賞が決まり、売上が10倍になった」と語った。前回参加した際も受賞した名古屋氏は「受賞をきっかけに買いに来る人が結構多い。プレッシャーがある中、賞に恥じないものを作ろうという気持ちになった。品評会でさまざまな人に会い、刺激を受けることもある」と回答した。
閉会あいさつで、全豆連の東田和久会長は、「初めて豆腐屋サミットを開催した時は、ぐだぐだで終わってしまったが、11回目となる今回は、内容が非常に充実してきたと感じる」と話した。
続いて、「ぜひ豆腐品評会を活用してほしい。参加したことを周りの人に伝えてほしい。豆腐屋は、伝えることが下手くそな人が多いが、自分がやってきたことを、プライドを持って伝えるのは、とても重要だ。でないと、成功しないし、何の結果も出てこない。ぜひプライドを持って豆腐作りに取り組んでほしい」と語った。
〈大豆油糧日報2023年11月2日付〉