みそ消費量は減少も無添加・液みそ・顆粒タイプが伸長、シェアトップのマルコメの営業方針は「新しい考えを邪魔せずニーズに応える」
みそのトップメーカーであるマルコメは、日本のみそ消費量が年々下がっている中で業績を維持している。2022年度(2022年4月~2023年3月)の生みその売り上げは、前年比100.6%の285億円となった。これは、だし入りみその「料亭の味」をロングセラーブランドに成長させたことが大きい。マルコメはみそ以外にもチャレンジし、この数年間に甘酒、塩糀、大豆のお肉など、新規事業に参入している。
マルコメ営業本部の泉文和本部長は、営業方針について、「若い人や新しい考えを、経験値による当たり前の考えが邪魔することがあってはならないと考えています。売り上げの浮き沈みに惑わされず、やるべきことをやることを大切にしています」とする。社員それぞれのアイデアを活かし、新たな商品提案を行って生活者の役に立ててもらえるように営業活動を進める考えだという。
みそでは、だし入り「料亭の味」シリーズが同社の柱商品であるが、現在販売が伸長している無添加タイプの「プラス糀 無添加 糀美人」のほか、「液みそ」、「顆粒みそ」の各シリーズの営業に注力しているという。
「プラス糀 無添加 糀美人」は、2012年の発売以来(発売当時は「プラス糀 生糀みそ」)、販売金額が伸長を続けているシリーズだ。国産米100%の米糀を使った無添加みそは、みそ市場の中で主流になってきた。同社は、新商品として、「プラス糀 無添加 糀美人 熟甘」「同 なめらか」を追加販売し、強化を図っている。
泉本部長は次のように話す。「みそ業界におけるトレンドはこれまで変化が少なかったですが、“糀美人”は発売から短期間で売り上げを伸ばしました。糀割合の高い甘口の無添加みその“丸の内タニタ食堂の減塩みそ”も好調な販売を続けています」。
味噌汁以外にもサラダや料理に簡単に使える「液みそ」シリーズは、使い勝手の良さから市場に定着している。泉本部長は、「年々売り上げが伸長し、みその中で売上構成比も増えています。需要に対してようやく安定供給できるようになってきました」とコメントする。
今後は、顆粒みそシリーズの成長が続くことが予想されるという。「液みそに次ぐサブカテゴリーに育成していきたい。生みそ本来の風味をそのまま顆粒にできているため、普通のフリーズドライではないことをあらゆる手段を使って伝えていきたい。中でも“粒みそ”は、みそ汁やみそ料理だけではなく、パウダーみそとして振りかけることができるので、和洋中さまざま料理にうま味調味料として使えることを訴求する」(泉本部長)。
マルコメには、「ハラール認証を取得してほしい」という要望もきており、顆粒シリーズの海外展開も視野に入れているという。