日本大豆ミート協会・青木時男会長インタビュー、植物由来肉の潮流はくる、「肉よりも高い」イメージは払拭が必要
日本大豆ミート協会は、大豆ミート食品類JAS制定に向けて中心的な役割を果たしたマルコメ、スターゼン、伊藤ハム米久ホールディングス、日本ハム、大塚食品が理事となり、2023年9月1日に設立された。
みそメーカーのマルコメと精肉メーカー、食品メーカーが同じ足場で、大豆ミートの普及、啓発に動き出す。そこで、青木時男会長(マルコメ社長)に、国内市場における安定価格とさらなるおいしさへの追求などについて話を聞いた。
青木会長は、「今後、植物由来肉の潮流は間違いなくくる。学校でもSDGsを学んでいる。その人たちが10年後親になり、食卓には大豆ミートの登場回数も増えるだろう」と予測する。
また、「大豆を含めコストインフレの影響を受けて、急速に伸びてきた大豆ミートの勢いもトーンダウンしているが、今後その勢いはアップダウンしながら、全体としては底上げしていくと長期的には見ている」と話す。
これからの問題では、「国内市場における安定的な価格を堅持しないといけない。また、常にバージョンアップし、さらにおいしくするために努力しながら、消費者からの支持をいただくことが必要だ。価格に関しては、肉との相対比較になるが、牛肉でも等級があるように、大豆ミートにも商品によって価格差はある。ただ、『肉よりも高い』というイメージは払拭しないといけない」と指摘する。
〈市場拡大に向けて参加企業の増加に注力、JAS認証対応は海外展開の切り札に〉
大豆ミートにおける啓発活動については、「ビーフと大豆ミートを合わせて使うといった提案など、メニューの多様性を示すことで、大豆ミートにトライしてもらいやすい環境を作り出していきたい。良質な動物性たん白と植物性たん白をバランス良く摂ることも訴求して、大豆ミートが消費者の食の選択肢に必ず入るようにアピールしていきたい」と語る。
協会を設立してまず、取り掛かかっていきたいことは、「市場拡大に向けて参加企業の増加に伴うフォローアップに力を入れていきたい。すでに、日本大豆ミート協会に参加したい企業からのアプローチもあり、規模の拡大とともに、市場の拡大を図っていく」と共に、更なる発展を目指したい思いを語る。
大豆ミートJASをベースにした規格の海外展開では、「協会に参加されることで、JAS認証に対応しているメーカーであることを理解してもらいやすくなる。そうなれば、海外展開の際にも、ひとつの切り札として使えるだろう。日本も国をあげて、国産の食品における海外輸出に力を入れ始めている。メイドインジャパンを証明する大豆ミートJASは有効に機能してくれるはずだ」と力を込める。
協会へアプローチしてくる企業については、「食品メーカーではない企業からもオファーをいただいている。機械関連や、外食産業に強いメーカーもいる。いろいろなチャネルがあることも協会の魅力で、横断型の企画は、こうした組織体でないと、メーカー1社では実現しにくい。来年は、そういった協会としてのポテンシャルを探っていけたらと考えている」と説明する。
最後に青木会長は、現在の日本は、大量生産大量販売の時代ではないとし、「廉価販売せずに、意識の高い人に対して、安定した価格で供給できる環境を作っていきたい」と日本における大豆ミート市場のイメージを語る。
また、キャンペーンなどでは、「農水省や協会と共同に行うことで、消費者に安心感を与えることもできる。そうしたシナジー効果は、生活者への説得力も増す」とし、連携により生まれる効果を最大限使った普及活動に積極的な姿勢を示した。
〈大豆油糧日報2024年2月19日付〉