日清オイリオ「日清ヘルシークリア」発表会、100年の酸化抑制技術を結集・進化させた新商品、「酸化は油の品質を左右、おいしく食べてもらうため最大のポイント」と考え開発
日清オイリオグループは2月20日、都内で新商品「日清ヘルシークリア」発表会を開催した。
「日清サラダ油」発売100年を迎えるにあたり、その間、同社が取り組んできた酸化抑制技術を結集し、さらに進化させた新製法「ウルトラ酸化バリア製法」を初めて用いたのが「日清ヘルシークリア」となる。会場では「日清ヘルシークリア」による揚げ物実演と試食、100年かけて展開してきた広告の展示なども行われた。
冒頭、久野貴久社長は、「今年は日本初のサラダ油『日清サラダ油』を1924年に発売してからちょうど100年の節目の年だ。サラダにそのままかけて食べるサラダ油の発売とともに、レシピ提案にも尽力し、食の洋食化に大きく生かした。その後、オリーブ油『BOSCO』とともに提案したイタリア料理の家庭への普及、トクホや機能性表示食品など油でできる健康提案、近年のかけるオイルの楽しみ方の啓発など、当社の提案が日本の食文化向上や多様化に与えた影響は決して少なくない」と強調した。
その上で、「特に注目してきたのが油の酸化だ。酸化は油の品質を左右し、おいしく食べてもらうための最大のポイントであると考え、長年研究や技術開発を進めてきた」と振り返った。
この春には、新たな研究開発施設「インキュベーションスクエア」をオープンし、「次の100年に向け、新たな価値を市場に先駆けて作り続けていく」とした。また、同日発表されたドラえもんの広告キャラクター起用についても触れ、「夢のある未来に向けて、これまで得た経験や知見を糧に、ドラえもんがのび太くんの近くで見守るその姿は、お客さまの『もっと近く』で日々ソリューションの提供に取り組んでいる当社の事業活動と重ね合わせられるものと考えた。今後このキャラクターとともに、油脂の健康やおいしさの魅力、当社のこだわりや取り組みを発信していく」と語った。
〈コンセプトは「鮮度長持ち、サビないオイル」、新製法は2つの壁乗り越え開発〉
食品事業本部の福田純二ホームユース事業戦略部長は、同社が100年間取り組んできた価値提供について説明した後、「日清ヘルシークリア」発売までの道のりを振り返った。
「日清サラダ油」発売100周年となる2024年に向けて、2021年春に新商品開発プロジェクトが始動し、食用油の新しい価値について議論してきたが、クッキングオイルのニーズを見つけ出すことは難しかったという。
「着目したのは、油の劣化、酸化に関する問い合わせが意外と多いことだった。一方で、どういった油が欲しいか、今の油への不満を聞いても、劣化、酸化はほとんど出ていなかった。ニーズとして顕在化していないものの、インサイトの部分で酸化に対して不満、不安を持っているのではないかと仮説を立てた。このコンセプトをブラッシュアップして生まれたのが、今回ヘルシークリアのコンセプトとなっている『鮮度長持ち、サビないオイル』だ」と説明した。
コンセプトについて、「サビるという既存商品のネガを想起させる強いワードを使っているが、消費者自身が意識していないインサイト、酸化に気づいてもらうためだ。今回の『日清ヘルシークリア』に秘められた当社の新技術への自信の裏返しでもある」と強調した。
技術本部中央研究所の吉村和馬研究第一課長は、「日清ウルトラ酸化バリア製法」について説明した。「酸素に触れると油は徐々に酸化し、味、におい、色などが変化し、おいしさが損なわれてしまう。油を酸素に触れさせないことが、酸化防止の鍵となる。当社が長い年月をかけて開発した技術がふんだんに盛り込まれているのが『日清ウルトラ酸化バリア製法』だ」と紹介した。
製造後の酸化を抑制する「Neoナチュメイド製法」、開封前の酸化を抑制する「酸化ブロック製法」、開封後の酸化も抑制する「日清ウルトラファインバブル製法」という3つの製法によって酸素との接触を徹底的に防ぎ、酸化を抑制する仕組みとなっているという。
特許取得済みの既存の2つの技術に加え、新たに開発した特許出願中の酸化抑制技術「日清ウルトラファインバブル製法」について、「ウルトラファインバブルは国際規格で定義されている超微細な泡のことを指す。この技術を食用油に応用し、超微細な窒素の泡を油に吹き込み、油中の酸素を徹底的に追い出すことで、開封後の酸化も抑えることを可能にした」と解説した。
同製法の開発にあたっては2つの壁があったという。1つ目の壁は、窒素の微細化技術の開発だ。「油中の酸素を追い出すには、窒素を可能な限り微細にする必要があった。超微細な泡の確認は、水では分析方法が確立されていたが、油は粘度が高く、その存在を確認することが難しかった。しかし、諦めず施行錯誤を重ね、当社が初めて超微細泡を確認できる条件を見つけ、実用化することに成功した」と振り返る。
もう1つの壁については、「油中の溶存酸素を大幅に減少させ、ほぼゼロの水準を達成しても、酸素に接触すると溶存酸素は上昇する。そのため、商品保存中も酸素に触れないことが非常に重要となる。『酸化ブロック製法』と組み合わせることで乗り越えることができた」と語った。
〈大豆油糧日報2024年2月22日付〉