Jオイルミルズ「ビオライフ」を9月に終売、プラントベースフードは大豆ベースの食品素材を強化

J-オイルミルズの佐藤達也社長(写真右)と、上垣内猛取締役専務執行役員COO(写真左)
J-オイルミルズの佐藤達也社長(写真右)と、上垣内猛取締役専務執行役員COO(写真左)

J-オイルミルズは「Violife(ビオライフ)」を9月に終売する。

5月16日開催の決算説明会で佐藤達也社長が発表した。今年3月の家庭用マーガリン類の生産・販売終了に続き、中期経営計画における構造改革の一環となる。佐藤社長は「構造改革では家庭用マーガリンの撤退を行い、業務用マーガリンも23年度黒字化を達成した。一方で事業の柱になると期待して3年間取り組んだ『ビオライフ』は終売を決めた。チルド製品を欧州から輸入するビジネスモデルは当初に想定した以上に複雑で、負荷がかかることになり、市場性も含めて検討した結果、終売の判断に至った」と説明した。

ただ、プラントベースフード(PBF)自体を止めるわけではないとし、今後は、大豆ベースの食品素材を強化していく方針だ。

同社の24年3月期(23年度)の連結決算は、売上高は6.2%減の2,443億円、営業利益は886.4%増の72.4億円となった。減収となったが、営業利益以下の段階利益はいずれも大幅増益となった。営業利益については、「油脂事業は予想を若干上回った。スペシャリティフード(SF)事業は通期黒字化を達成し、前年から約10億円の収益改善を実現した。特にマーガリン事業は計画通りに構造改革が進み、家庭用マーガリン事業は3月末に撤退を行い、事業全体の通期黒字を達成した。一方、『ビオライフ』は通期予想に比べて苦戦したが、食品素材がカバーした」と説明した。

営業利益72.4億円のうち、油脂事業は前年度から55.6億円増、スペシャリティフード事業は同9.4億円増となった。油脂事業の増減要因として、原材料価格などの良化、適正価格での販売に努め、家庭用油脂の販売価格はオリーブ油などプレミアム油の価格改定で前年から約15.5億円の増益に貢献した。一方、販売重量は価格改定の反動で3.2億円の減益要因となった。業務用油脂は原料相場の良化に伴い、販売価格が105.2億円の下落となったが、ほぼ前年並みの販売重量を確保した。油脂コストは163.9億円の増益要因となった。

〈24年度の油脂事業、販売重量は家庭用が微減・業務用は微増を見込む〉

24年度予想は、売上高は0.3%増の2,450億円を計画する。オリーブ油の価格改定の実現を図り、業務用油脂の販売価格の維持によるもの。油脂事業は1.1%増の2,225億円、SF事業は7.6%減の215億円を計画する。SF事業は、家庭用マーガリンの撤退の影響に加え、「ビオライフ」ブランド終売の影響を反映している。

営業利益は3.4%減の70億円を計画している。そのうち、油脂事業は65億円と前年から4.5億減、SF事業は3億円と同1.8億円増を見込む。油脂事業は、家庭用の販売価格は45.1億円増の一方、販売重量は1.3億円減を見込む。業務用の販売価格は76.4億円減だが、販売重量では6.1億円増を見込む。

油脂事業について、「外食チャネルの活性化に伴い、販売重量は、家庭用は微減、業務用は微増を見込む。販売価格については、業務用は継続して価格の下落が進むことを織り込んでいる。家庭用はオリーブ油などの価格改定により増加を見込む」とした。SF事業は、家庭用マーガリン撤退、「ビオライフ」の終売の影響で販売重量減を見込むが、業務用マーガリンの安定した収益改善などから、乳系PBFはほぼ横ばい、食品素材もほぼ前年並みを計画している。

「ビオライフ」の終売について上垣内猛取締役専務執行役員COOは、「21年9月からブランドを立ち上げ、PBFの市場定着と拡大を目指して活動してきた。しかし、チーズのカテゴリでの訴求は難しく、チーズのマーケットが思った以上に伸びていかなかった。ギリシャの工場からチルド製品を運ぶのは時間がかかり、販売予測も難しいことが分かった」と説明した。

その上で、「チーズに前のめりになるよりは、肉系の大豆をベースにした食品素材の方に舵を切りなおして、しっかりと展開したい。『ラーマ』に続く終売で、当社のチルドカテゴリの商品がなくなるのは残念だが、限られたリソースを成長分野に傾けていく決断をした」と語った。

〈大豆油糧日報2024年5月20日付〉

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