たん白質摂取に関するプレスセミナー開催、講演や大豆メーカー注力商品紹介など

アサヒコ「トーフプロテイン」豆腐バー
アサヒコ「トーフプロテイン」豆腐バー

食と健康の広報情報マッチングサイト・ネタマッチ主催のたん白質摂取に関するプレスセミナーが5月22日、都内で開催された。

内藤裕二教授(京都府立医科大大学院生体免疫栄養学)が日本人に必要なたん白質の摂取について講演したほか、アサヒコ、フジッコ、キッコーマンソイフーズ、ハウス食品、マルハニチロが注力商品などを紹介した。

プレスセミナーで講演した内藤裕二教授
プレスセミナーで講演した内藤裕二教授

内藤教授は始めに、世界のたん白質摂取のトレンドについて紹介し、沖縄大宜味村を含む世界5大長寿地域「ブルーゾーン」のライフスタイル研究が進んでいるといい、ブルーゾーンに係るガイドラインのフード分野では95%が植物ベース、5%がアニマルベースだと話した。

また米国の栄養学ジャーナルによれば、植物性たん白摂取により不健康な老化を遅らせることが出来るといったことも指摘されており、「たん白質摂取は必ずしも動物性でなくても良いと気づく必要がある」との見方を示した。

内藤教授は、長寿地域として知られる京都・京丹後エリアのコホート研究(65歳以上の住民が対象)にも取り組み、同エリアのたん白質摂取は魚介類、穀粒、鶏肉中心の肉類、豆、卵の順に多かったと報告した。加えて、植物性たん白質や魚介類の関与はまだ分からないとした上で、フレイルスコアは15%、非フレイルは85%であり、たん白質摂取量はフレイル群で若干少なく、特に植物性で少ないことが見えてきたという。

そのほか、腸のフレイル(虚弱化)を考えることも重要だと強調し、「食べ物や運動不足、腸内細菌の乱れ、薬剤、環境要因などで私達の胃腸は虚弱化している。その結果、心不全や筋肉の痩せ、肌の荒れなどが生じているのではないか」と話した。

〈「豆腐バー」ヒットの要因は豆腐の定義変更、ハウスは好調な米国事業の知見生かす〉

各メーカーの発表では、アサヒコは20年に立ち上げた「トーフプロテイン」事業の目的を説明した上で、発売から約3年で累計販売数6,400万本を超えた「豆腐バー」のヒットの秘訣は、豆腐の定義変更(伝統的な食材から植物性たん白源へ)などがあることを紹介した。

国内植物性食のポジションに関して、新しいもの好きな層(イノベーター・アーリーアダプター)のニーズに応えているが、保守的なフォロワー層の安心感のニーズに応えられていないと分析した。「当社は老舗豆腐屋の信頼感、原料は豆腐である安心感を与え、キャズム(一般化に向けた溝)を超えられるのではないか」(マーケティング本部の新井えり子氏)。

23年事業方針「ぜんぶとうふ化作戦」では、健康的で持続可能な食習慣を包括的に提案し、人生100年時代に長く愛される商品を提供する。商品面では、今年4月に具入り豆腐バーの新ラインを稼働し、好調な具入り豆腐バーの生産量を180%アップさせ、「きんぴら大根」を販売中だ。そのほか「豆腐バー焦がし醤油」やひと口サイズ「サラダ豆腐」を紹介した。

フジッコは、ロングセラー「おまめさん」含む豆製品の活動テーマに「Everyday Beans!」を掲げ、商品展開している。各年代ともたん白質が不足している朝食シーンにフィットする製品として「大豆ヨーグルト」を展開し、去年3月に大豆を特殊加工して青臭さを抑えるなどのリニューアルを実施した。出荷数は3倍弱になり、毎月伸びているという。

フジッコ「おまめさん」含む豆製品
フジッコ「おまめさん」含む豆製品

「ビーナス」ブランドの第1弾「ダイズライス」は、大豆粉を成形し米のようにした高たん白・低糖質な製品だ。現在は通信販売とBtoBでの販売だが、今後は総菜にも展開していきたいと展望を述べた。

キッコーマンソイフーズは、豆乳の新たなスタンダード品として発売した「砂糖不使用調製豆乳」を紹介した。飲料全体で砂糖不使用がトレンドの中、「無調整のような大豆の風味は苦手だが、スッキリ感が好きな人におすすめ」だという。

豆乳市場規模は917億円(22年、SCI)と、紙パック野菜飲料より大きく、アーモンドミルクの約8倍に当たる。飲用者率は果汁より低いのに対し市場規模が上回っているのは、ヘビーユーザー比率の高さだと分析した。

ハウス食品は、1983年から参画している米国の豆腐事業に関して、1997年~2018年までで約7億丁個を販売したという。6段階の堅さの豆腐を販売し、売れ筋は日本では馴染みのない堅さの「エクストラファーム」だ。ハウスフーズアメリカ社の生産は追い付いていない状況だという。

同社は、米国での知見を生かし国内で「ソイーネ」シリーズを展開し、「豆腐で作るキーマカレー・ガパオの素」や「豆腐サラダの素」を発売している。同製品のこだわりに関して、「(国内の豆腐ユーザーは)30代以下は5%に満たないが、単身女性においては直近で伸長している。また、「若い人には豆腐の新しい食べ方を楽しみたいというニーズがある」という分析から、豆腐の水分を生かす技術で水切り不要とし、伸長している豆腐3段パックの1個分で手軽に豆腐メニューのレパートリーが広がる設計にした。

今後は、豆腐業界との繋がりを深めていくほか、米国での知見を活かし製品レベルで連携していきたいと述べた。

マルハニチロは、魚肉ソーセージや魚の缶詰はたん白質、DHA・EPAが豊富だと説明した。今年2月発売の「DHA入りリサーラソーセージω」は、日本初の心血管疾患に対するリスク低減効果の可能性がある特定保健用食品として認可されたと紹介した。

〈大豆油糧日報2024年5月28日付〉

媒体情報

大豆油糧日報

大豆と油脂・大豆加工食品の動向を伝える日刊専門紙

大豆油糧日報

大豆から作られる食用油や、豆腐、納豆、みそ、しょうゆを始めとした日本の伝統食品は、毎日の食卓に欠かせないものです。「大豆油糧日報」では、発刊からおよそ半世紀にわたり、国内外の原料大豆の需給動向、また大豆加工食品の最新情報を伝え続けております。昨今の大豆を巡る情勢は、世界的な人口増大と経済成長、バイオ燃料の需要増大により、大きな変化を続けております。一方で、大豆に関する健康機能の研究も進み、国際的な関心も集めています。そうした情勢変化を読み解く、業界にとっての道標となることを、「大豆油糧日報」は目指しています。

創刊:
昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
大豆卸、商社、食用油メーカー、大豆加工メーカー(豆腐、納豆、みそ、しょうゆなど)、関係団体、行政機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格29,700円(税込)6ヵ月=本体価格59,044円(税込)1年=本体価格115,592円(税込)