原田産業、大豆の脱皮システム販売に注力、丸大豆より歩留まり向上、しょうゆメーカーにも

原田産業の原田直輝社長と、営業部の堀井浩男部長
原田産業の原田直輝社長と、営業部の堀井浩男部長

原田産業(埼玉県上尾市)は穀物選別機を中心に、大豆の脱皮システムの販売にも力を入れている。営業部の堀井浩男部長は、「大豆を脱皮することで豆乳の歩留まりが上がることが分かった」と明かす。

脱皮を行うことで小割れや粉のロスがあり脱皮大豆としての歩留まりが減り、豆乳の回収量も減るものと考えていたが、豆乳や豆腐メーカーは豆乳濃度よりも固形分を重視しているため、歩留まりが上がるのだという。

従来の丸大豆よりも脱皮した大豆の方が、歩留まりが上がる理由について、「あくまでも想像だが、丸大豆を磨砕し搾る際、おからに若干の固形分が残るのだと思う。脱皮すると、皮が除去されることでおからの量は25%減った。つまりこれまでは絞った後のおからに残っていた固形分はおからが減ることにより豆乳側へ回収されていることになるのではないか」と説明する。

実際に脱皮大豆で製造した豆乳の固形分が増えるというデータを取得している。

ひきわり大豆は丸大豆より歩留まりが上がることから、原田直輝社長は「ひきわり大豆で豆腐の提案は行っているが、しょうゆ、みそを造ることも提案していきたい」と述べる。

しょうゆは元々、油の搾りかすである脱脂大豆を原料に製造しているメーカーがほとんどだったという。近年、遺伝子組み換えでない原料(NON-GMO)にこだわるなど、諸事情により希望する品種の脱脂大豆の入手が困難になったことから、丸大豆で製造しているメーカーも多いという。丸大豆をそのまま仕込むと脱脂大豆のようなうま味のあるしょうゆに造り上げるのが困難であり、各しょうゆメーカーはうま味を出すために、さまざまな工夫を行っている。「脱皮大豆を使用することも、うま味を出すための一つの方法」と堀井部長は推奨する。

同社は約24年前に、丸大豆でしょうゆを造っているメーカーで、ひきわり大豆を使ったテストを行った。丸大豆を割り、皮を除去することで大豆の表面積が大きくなることから菌の食いつきが良くなり、醗酵しやすくなる。また、皮を除去することでたん白の歩合が高くなる。それにより窒素分の割合が増え、アミノ酸も増えうま味を出しやすくなると評価を受け、設備はそのまま導入に至ったと振り返る。

ひきわり大豆を使用すると豆を煮る蒸煮など従来の設定を大きく変える必要があるが、同社は糸引きの納豆業界で培った蒸煮システムのノウハウもあり、ひきわり大豆での蒸煮についてもアドバイスを行う。

〈遠隔操作でメンテナンスできるシステムの開発を目指す〉

原田社長は設備面での新たな試みとして、「現地に行かず、遠隔でメンテナンスの対応ができるシステムを構築したい」と考え、自動制御を利用した開発を進めているという。

まず初めに行ったのが、自動制御装置について制御部分の基板式からシーケンサー式への移行であり、次々に実現しているという。

従来の制御は基盤式による制御であったが、客先ごとに運用が違う。そのため要求される制御が客先ごとに違うため、それぞれの客先用として内容の違う半導体のロムを基盤に取り付ける方式であった。また、基盤式は現場での急なプログラム変更に難があった。

一方、自動制御式のシーケンサー式にすれば、現場の状況に合わせプログラムの変更が容易にできるというメリットがある。この新しい自動制御を利用し遠隔操作でサービスができるシステムの開発を進めているという。

原田社長は、「このシステムが構築できればお客様へのサービス向上はもちろんであるが、昨今のいわゆる『働き方改革』、『2024年問題』による人手不足の対策にもなると考えている」と力を込める。

〈大豆油糧日報2024年5月29日付〉

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