国際オリーブ油コンテスト「OLIVEJAPAN」審査開催、出品数は64増、辛みのないオリーブ油が増加/日本オリーブオイルソムリエ協会
日本オリーブオイルソムリエ協会は5月30日、31日の両日、都内で第13回となる国際オリーブ油コンテスト「OLIVEJAPAN」の審査会を開催した。
今年のエントリー数は、干ばつでオリーブが大不足となった昨年から64増の766となった。審査員は国内の6人を含め、11カ国計20人が6グループに分かれ、討論しながら審査した。スペインから来日した審査員によるセミナーなど、各種イベントも開催された。受賞結果は6月10日に発表し、28~29日には受賞商品の販売会も行う。
同コンテストはグループに分かれ、討論しながら評価する審査方式が特徴だ。受賞メダルは最優秀賞、金賞、銀賞の3種類が用意されている。同協会の20人以上のマスターオリーブオイルソムリエが事前審査で選ばれた候補から、1日目に金賞か銀賞か、銀賞かメダルなしかを、2日目に最優秀賞を決める審査が行われた。
多田俊哉理事長は今年の出品傾向について、「今年は辛いオリーブ油が多くなかった。生産量を上げたいために、収穫時期を遅らせたので、辛みのないオリーブ油が増えている」と傾向を語った。
審査については、「銀賞とメダルなしに大きな違いはないが、金賞と銀賞には大きな差がある。金賞と銀賞の違いに集中してもらいたい」と呼びかけた。
金賞について、「バランスとハーモニーが良く、良いフレーバーが続き、とても複雑な風味であることが重要だ」と述べた。「OLIVEJAPAN」では、バランスは、苦味や辛みのバランスと定義しているという。「苦味、辛みのあるオリーブ油はバランスを取るのが難しい。この2つのバランスに特に注意を払ってほしい」と訴えた。ハーモニーについては、「消費者の目線から言えば、アロマと味わいは同じ方向性を持っていることが良いハーモニーと言える。アロマの方向性と舌で感じる味わいが同じ方向性かチェックしてほしい」と注文した。「苦味、辛み、フルーティネス、アロマと味わいの方向性を重要な金賞の要素になる。その風味が継続することが大事だ」と金賞の条件をまとめた。
〈日本の出品数は87に増加、今年のスペインの生産量は豊作の見通し〉
出品傾向について多田理事長は、「日本を含めて昨年よりも増えた。例年5~6品エントリーしている人の出品が減っている代わりに、新しい生産者のエントリーが増え補っている」と述べた。なお、日本からの出品は87(前年55)に増えた。
今年の品質については、「それほど良くない。生産量を増やすために、辛いオリーブ油は減っている。生産者は収穫前に雨が降って欲しい。雨が降ると実の油の量が増えるが、ギリギリまで降雨を待って、降らなければ完熟になってしまう。完熟になると苦味や辛みがなくなり、味わいが乏しくなるため、練り込みの時に長時間練り込むようになる。そうするとポリフェノールが多く油に溶け込み、渋くなってしまう。辛くなるポリフェノールは、渋くなるポリフェノールと種類が異なり、完熟になるとなくなる。そのため干ばつの年は辛くなるポリフェノールが多かったはずだが、完熟になったので、辛くないオリーブ油が多くなった」と解説した。
生産量について、「スペインは昨年、70万tに達しなかった。ギリシャは蓋を開けてみると約20万tで不作だった。イタリアは不作というより、いいものを作る生産者が次々と廃業した。畑の面積が減り、作る人も減っている。農家の就業年齢が高く、補助金もカットされるなど、複数の要因が重なっている」と述べた。
一方、今年のスペインの状況については、「今年の予想は170万tだ。まだ分からないが、花が咲いている時点での予想なので、ある程度は取れるだろう」と見通した。「春先に例年並み以上の雨が降った。昨年は5月に40℃を超えていたが、今の時期に猛暑となっていない」と豊作見通しの理由を述べた。
〈大豆油糧日報2024年6月4日付〉