全国豆腐連合会・日本豆腐協会「JAS法説明会」開催、理解を深めて活用方法を模索

日本豆腐協会・三好兼治会長
日本豆腐協会・三好兼治会長

全国豆腐連合会(全豆連)と日本豆腐協会(日豆協)は5月29日、参議院議員会館で「JAS法説明会」を開いた。

現在、日本の豆腐は規格や定義が定まっていない。そこで、同説明会を通してJASの理解を深め、活用方法を模索していくとした。JASを制定することで、品質を平準化できるだけでなく、輸出の際に品質や特色、技術や取り組みなどを説明・証明できること、品質や仕様以外もJAS規格に制定できること、新しく制定されたJASの事例などが紹介された。

冒頭、日豆協の三好兼治会長や、全豆連の東田和久会長があいさつした。三好会長は、「日本の豆腐は世界に誇れる。最も多様化した文化を持っている。それを発信するためにも豆腐の国内基準を作る必要がある。今は、充填豆腐の規格があるだけだ。絹ごし豆腐や木綿豆腐など豆腐全般を規格化し、世界に豆腐をさらに発信していければと思う」と話した。

また東田会長は、「豆腐の種類を明確化することがわれわれの仕事だ。お客様は生豆腐と充填豆腐の違いをよく知らない。町の豆腐店やスーパーでは、生豆腐から徐々に充填豆腐に切り替わっている。お客様は豆腐を区別することなく、単においしいから、(商品やブランドが)有名だからという理由で買っている人が多い。多様化するニーズの中でJAS法をいかに活用するかが豆腐業界の宿題のひとつだ」と述べた。

全国豆腐連合会・東田和久会長
全国豆腐連合会・東田和久会長

「JAS法説明会」開催の経緯について、「適正な価格形成に関する協議会」豆腐・納豆ワーキンググループにも参加している、さとの雪食品の村尾誠常務取締役営業推進室室長が説明した。規格が細かく決まっているアイスクリームを例に挙げ、豆腐業界では絹ごし豆腐や木綿豆腐の定義が定められていないことなどを指摘した。「長い歴史を持ちながら、消費者に購入の判断材料を提供できていない。だからこそ値上げをしても消費者に受け入れられづらい。規格や基準が業界や消費者にとって、いかに大事か伝えたい」と訴えた。

〈品質の平準化に加え、事業者や産地の差別化・ブランド化も目的、海外市場も視野に〉

講演は、日本農林規格協会の島﨑眞人専務理事が行った。これまでのJASは、市場に出回る食品・農林水産品の品質を一定範囲にそろえる平準化を目的にしていたが、それに加え、事業者や産地の差別化・ブランド化も目的とするようになった。JASは多様な規格を制定できるようになり、産品の品質・仕様だけでなく、生産・流通プロセス、事業者による産品の取り扱い方法、事業者の経営管理の方法、産品の試験方法、これらに関する用語などが制定できるという。規格に適合していれば、その内容が一見して分かる標語付きのJASマークの表示が可能となる。JASの取得は任意となる。

加えて、食文化や商慣行が異なる海外の取引相手に、日本産品の品質や特色、事業者の技術や取り組みなどを説明・証明する機会が増大し、海外市場も視野に入れるようになってきた。

海外との取引を円滑に進めるためには、日本の事業者にとって取り組みやすく有利に働く規格の制定・活用を進めるとともに、国際的な認知度・影響力を高めていくことが不可欠となる。そのための手法として、JASと調和のとれた国際規格(Codex規格やISO規格)を制定する方法や、JASそのものを海外に浸透・定着させる方法があるという。規格の目的や対象、影響力、実現可能性などを勘案した上で、戦略的に選択していく必要があるとした。

また、近年注目が集まっているSDGsの解決・実現に寄与するJASの規格化を国際展開を見据えて検討している動きがある。日本の有機認証制度は、諸外国と同等性を相互に承認しており、有機JASの認証を受けていれば、輸出先国の有機認証を受けなくとも輸出先国に「有機」として流通できる。この仕組みを利用した有機食品の輸出数量は増加傾向で推移しているという。なお、商品名に「有機」という表記を使う場合、必ずJAS認証を取得する必要がある。

JASの策定は、事業者や産地からの提案を官民連携で規格化している。認証のハードルにも関わるため「策定する際は工夫が必要になる」(島﨑専務理事)とした。

〈大豆油糧日報2024年6月11日付〉

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