やまみ・2024年6月期決算説明会、営業利益は前年2倍に、富士山麓工場は黒字転換
やまみは8月21日、2024年6月期の決算説明会をオンラインで開き、山名清会長と山名徹社長が説明した。
2024年6月期は過去最高の売上・利益で着地し、営業利益は前年実績の2倍となった。売上の15%を占める富士山麓工場は黒字転換し、今後の売上構成比は、本社工場と関西工場を合わせた売上実績と同程度を目指す。また本社工場の厚揚げラインを増設することなどを明かした。
初めに、山名会長が決算概要を説明した。売上高は、前年比17.4%増の190億100万円だった。販売数量自体も12%増となったことに加えて、本社工場や関西工場を中心に約10%の価格改定を実施し、高付加価値商品への切り替えが進んだためとしている。これにより平均単価も引き続き上昇傾向だ。
富士山麓工場は黒字化を達成し、多数商品の商談が進んでいるところだという。本社工場と関西工場も生産稼働率が向上し、全社で営業利益率は10.9%増を達成した。2工場は、メーカーの淘汰加速によるシェア拡大と、新商品投入による既存取引先の深耕により2ケタ増収増益と伸長し、収益性も改善された。
営業利益は前年比2倍の20億7,900万円だった。増減要因は、プラス要因として売上高28億2,300万円、光熱費減2億円、マイナス要因として材料費14億900万円、労務費2億5,800万円などを挙げた。材料費については為替の影響が大きかったという。労務費については「水準以上の賃上げを実施したつもりだ。働き甲斐のある職場を目指している」とした。
商品別では、「他社が作りにくい商品、例えばハイスピードで作れる木綿豆腐や絹ごし豆腐、充填豆腐の小さいサイズが伸長した。焼き豆腐は、好調だった昨年の反動があったが、国産に切り替えたにもかかわらず数量はほぼ落ちなかった」と評価した。
2025年6月期業績予想は、売上高は10.5%増の210億円、営業利益は13.0%増の23億5,000万円、経常利益13.1%増の23億4,800万円、当期純利益は10.5%増の16億3,100万円を見込む。
上期は原材料高が続くため、3.1%増収、13.3%営業減益を見通す。下期は18.0%増収、54.7%営業増益を見込む。今秋から本社工場の厚揚げラインを2ラインから3ラインに増設し、生産能力を1.5倍に引き上げる。さらに、油揚げラインの設備更新が本格稼働し、生産量の問題から納入できなかった先へ積極的な売り込みを計画している。
〈本社工場で厚揚げライン増設、油揚げラインも3倍の能力に、賞味期限は12日間に延長〉
続いて、山名社長が中期経営計画を説明した。2027年6月期は、売上高250億円、営業利益35億円を計画している。売上高は毎年20億円ずつ成長させる計画で、年平均成長率は9.6%増、営業利益は同19.5%増を見込む。豆腐市場6,000億円のうちシェア10%獲得を目指す。
「当社としては、得意なことを磨き、苦手なことはあえてやらない。現在の取り組みについて、本社工場で厚揚げラインを増設しているところだ。前期は営業を抑制していた面があったが、これで売上を強化できる。油揚げラインも同じ人数で従来の3倍の能力まで引き上げる。賞味期限も7日間から12日間に1.5倍延長し、商品の優位性と生産性の特化が売上につながると思う」と語った。
また、2026年6月期営業利益は、29億9,000万円と大幅増を見込む。この要因について、1つ目に大豆の価格、2つ目に業界の将来の見通しを挙げた。「値上げを積極的にするよりも、全体のバランスを見ている。将来、豆腐業界が集約化されたイメージを持っている。業界の集約は今後も進んでいくと思う」と見解を述べた。現在、富士山麓工場の売上は、全体のうち15%を占めているが、目標の構成比について「関西工場と本社工場を合わせた売上と同じくらいを想定している」と意気込んだ。
新商品は、練り物の販売価格が高騰していることから、おでん用「おでんや鍋でおいしい三角木綿厚あげ」(4枚)、「同 短冊木綿厚あげ」(同)ほか、充填豆腐の「国産大豆 濃厚仕立て まるっとうふ」(100g×4)、北海道産大豆を使用した分厚めの「いろいろ使えるおいしいすし揚げ」(6枚入り)、「昔ながらのふっくらおいしい油あげ」(3枚入り)を発売する。
〈大豆油糧日報2024年8月27日付〉