【トップインタビュー】ゆばの新しい食べ方を提案、三和豆水庵の強みをメインに打ち出す/相模屋食料・鳥越淳司社長
相模屋食料はこれまで、プラントベースフードの「BEYOND TOFU」シリーズや、豆腐総菜の「ひとり鍋」シリーズなど、豆腐の食シーンを広げてきた。2024年3月、三和豆水庵がグループ会社入りを果たし、次はゆば総菜でゆばの新たな食べ方を提案する。鳥越淳司社長に今後の展望を聞いた。
――今期(2月期)の通期見込み
450億円の見込みだ。30億円規模の三和豆水庵が2024年3月にグループ入りしたため。
――三和豆水庵の進捗は
強みの商品に特化して工場を改装中だ。現在、改装が半分終了した。設備投資は17億円かける見込み。秋口に揚げ物のラインの準備に入る。春夏用のラインは稼働を開始している。同社の主力だった「波乗りジョニー」は、規模を10分の1ほどに縮小した。
三和豆水庵はゆばに強みを持つ会社だったため、ゆばをメインに打ち出していく。加えて、寄せ豆腐や木綿豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐に注力する。
――商品動向は
一番好調な商品は、充填豆腐の3パックや、木綿豆腐の3パック、1丁の木綿豆腐だ。このようなベーシックな豆腐が伸びているのは、豆腐製造業者の廃業が進んでいるからだろう。
「うにのようなビヨンドとうふ」は堅調な売れ行きだ。また「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」はTikTokなどで拡散され、金額ベースで前年比21.3%増で推移している。
「VEGAN TOFU NOODLE」の春夏限定商品「冷やし胡麻たんたん」「ゆず塩」も好調だった。
〈品種による差別化ではなく、どれだけおいしいか、商品としてどれだけ面白いか〉
――新商品について
5月には、三和豆水庵のゆばをリニューアルした「生湯葉」、7月にはゆば総菜の「湯葉フィーユ枝豆」「同黒胡麻」を春夏限定で発売した。ゆばの間に枝豆や黒胡麻を挟み込んだ商品だ。ゆばの食べ方を知らない消費者は多いので、新しく提案し、食シーンを広げていく。
バイヤーの反応は良く、導入率はかなり高い。参考価格は税別298円と割高のためバンバン売れるわけではないが新しい世界を提案できた。9月からは秋冬限定で「16層の湯葉を重ねたとろける湯葉鍋」を発売した。売上目標は決めていない。決めない方が売れると考えているからだ。
このほど発売した「白子のようなビヨンドとうふ」は、癖になる味を出したくて、「うに」のパワーアップバージョンとして「白子」を開発した。非常に期待度が高い商品だ。
――下期の施策は
三和豆水庵の工事を完成させるのが重点課題だ。今期中に決着をつける。それ以外の目標は決めていない。
――M&Aの今後の方針は
今後も企業から要請があれば、グループ会社として受け入れるつもりだ。12社目になるが、再建の方法が確立しているため、さらに増えたとしても特に問題ない。2024年7月、ギトー食品がやっと黒字転換し、これで三和豆水庵を除く全てのグループ会社が黒字化したことになる。
――価格改定の予定は
9月1日から全商品を対象に実施した。卸価格から10%を目途にしている。
――農水省では国産大豆の需要増加を推進しているが
国産大豆を使用した商品は、以前は金額ベースで約3割を占めていた。ここ2~3年でその割合を増やしており、今は約4割くらいだ。豆腐としてどれだけ美味しいか、そして商品としてどれだけ面白いか、にシフトしている。大豆屋ではなく豆腐屋なので、品種で差別化を図ることは、あまり必要ないように思う。国産は甘くコクがあっておいしいから使用しており、そちらの方が大事だと思う。
新商品は国産を使用することが多い。最終的には、国産商品と外国産商品の割合を半分ずつくらいにしたい。
〈大豆油糧日報2024年9月11日付〉