【トップインタビュー】ディーツフードプランニング、8月末に自社工場が完成、量産が可能に、生おからのままアップサイクル/大川訓弘社長
ディーツフードプランニングでは、食品残渣のアップサイクルをする会社となることを目指し、おからとこんにゃくを使って作る「Deats(ディーツ)」を製造・販売している。
「ディーツ」は多様なメニューを再現でき、これまで肉だけでなく魚や米、麺類、スイーツなどの代替品を生み出してきた。8月末に自社工場が完成したことで量産が可能となり、再現できるメニューもさらに広がりが出るという。大川社長は「本当の販売が始まるところだ」と力強く語る。
「ディーツ」の特徴は、こんにゃくをベースの主原料とし、おからを始めとした食品残渣を使用することで、食品ロスを低減できることだ。独自技術により大豆臭もない。さらに、肉や魚と比較して、カロリーや脂質が抑えられている。価格面も、価格の上昇が予想される畜肉や魚と比べて値ごろ感があるという。
今回、自社工場を構えたことで製造コストが下がり、「ディーツ」がより値ごろになった上、安定供給がしやすくなったとする。スーパーやコンビニ弁当のおかずや、回転寿司のメニューなどにも採用される予定だ。さらにこのほど、農林水産省の補助金の交付が決定し、サーキュラーエコノミーシステムの構築に活用している。
具体的には、おからが出るメーカーの工場に、おからが日持ちする加工を施す機械を設置し、加工したおからを使用する。CO2の排出を避けるために、乾燥させるのではなく生おからをアップサイクルする。
〈家庭用新商品「OK-DELI」レトルトシリーズ発売、次世代の人にとっての家庭の味に〉
創業以来、基礎作りを行ってきたという大川氏。9月上旬から「ディーツ」の家庭用新商品「OK-DELI」レトルトシリーズを全国の一部スーパーなどで発売し、本格稼働を開始した。「豚肉風と根菜のてり煮」「酢豚風黒酢あんかけ」「肉団子風トマト煮込み」など5品をそろえ、野菜も摂れる和洋中のメニューとした。
同商品は、いずれも200kcal以下に抑え、1パック当たりレタス2個分の食物繊維を含む。袋のまま電子レンジで加熱するだけで食べられる。賞味期限が長く買い置きにも向く。
「OK-DELI」は、主にこんにゃく売り場で販売し、売り場の活性化を図る。「一時期、こんにゃく業界にいたが、一人当たりの需要を伸ばせなかったのは反省点だ。(伝統食品である)こんにゃくを残すことを使命にしないとならない」と述べる。「こんにゃく単体では難しいが『ディーツ』ならメーン食材にできる」と意気込む。
今後は、「OK-DELI」の改良を行いつつ、ラインアップの拡充に努める。現在はレトルトのみだが、チルド品の発売も構想している。「次世代の人にとっての家庭の味になるようなメニューを作りたい」とする。
さらに、海外にも目を向けている。「毎朝、豆腐や豆乳を喫食する文化は海外でも多い。おからの活用は世界中の問題である」と指摘し、海外にも工場を建設する夢を描いている。
【プロフィール】
おおかわ・のりひろ1969年奈良県生まれ。奈良県吉野の精進料理からインスピレーションを受け、2000年頃から現在のおからこんにゃくの研究開発を開始する。約200回の試作を経て05年に発売した「おからこんにゃく」がダイエット食品として当時は一大ブームを巻き起こした。その後、20年2月にディーツフードプランニングを設立。肉でも魚でもない第3の選択肢として普及する食品を目指し、絶えず研究開発を行っている。
〈大豆油糧日報2024年12月5日付〉