【新年インタビュー】日清オイリオグループ・久野貴久代表取締役社長

日清オイリオグループ 久野貴久社長

【2024年は「日清サラダ油」100周年という節目、日本の食卓に与えてきた影響を再認識】

――2024年を振り返って

オリーブ油は2年連続の歴史的不作の影響から価格が高騰し、原材料調達も不安定な状況となった。また、2024年問題に端を発した物流費の上昇や円安の影響から、非常に厳しいコスト環境が続いている。このような状況の中、大豆・菜種・パームを主原料とした食用油は10月1日からの価格改定を発表し、実勢化に向けた交渉を粘り強く行っている。

主要原料の大豆は、作付が順調であることを背景に、落ち着いた値動きを見せていた。増産となった北米に続き、南米大豆へも増産期待が高まりつつあり、上値は重い状況が続いている。一方、菜種は、高温乾燥への懸念が続いたことから底堅い取引が続いた。欧州、カナダ、豪州いずれも減産となり、需給引き締まりが意識されている。

世界的な脱炭素の流れは続いており、バイオディーゼル向けの需要が堅調であることから、オイルバリューは高止まりしやすい構造となっている。米国の政権交代により、トランプ氏の景気対策がインフレを加速するとの見方から円安が続く可能性も十分にあり、2025年も製油業界にとって厳しいコスト環境が続くと予想している。

2024年はオリーブ油の高騰や、物流費の上昇、為替の相場などのさまざまなコストアップ要因への対応や収益を重視した施策など、中期経営計画「Value Up +」の最終年度として、掲げた目標を確実に達成するための取り組みを推進してきた。同時に次年度以降のさらなる成長に向けた仕掛け作りを推進した1年となった。

また、「日清サラダ油」100周年という節目の年に当たって、改めて当社が日本の食卓に与えてきた影響と存在意義を再認識した。そして、当社グループが「植物のチカラ」と「油脂をさらに究めた強み」で「生きるエネルギー」をすべての人にお届けする企業グループになるために、何をすべきかということを改めて考えた1年でもあった。

【グループの成長を実感できた4年間、次期中計で成長ストーリー示す】

――2025年の取り組みは

当社グループは、「生きるエネルギー」をすべての人にお届するために、「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」へ飛躍を遂げることを目指している。健康やおいしさ、使い勝手や環境など、さまざまな生活者のニーズに対して油脂でお役立ちできるポイントを突き詰め、それらを実現していくことが「油脂ソリューション企業」を体現することだと思っている。BtoBの分野でもユーザーの皆さまと共に生活者にお応えできることが、当社グループの強みになると考えている。

このように油脂を最終的に使用する生活者の「食卓をより豊かに」、「より健康に」といったニーズにお応えしていくアプローチによって得られた能力や実績を、文化や価値観の異なるさまざまな地域においても活かしていくことで、当社グループは「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」への飛躍ができると考えている。この動きを加速していきたい。

2024年は当社の「生活科学研究」30周年の年でもあった。1994年に「くらしの文化を提案し続ける企業」の実現に向けて活動をスタートして以降、生活者の皆さまを正しく理解し、日々の生活の中で使って頂けるソリューションを提案することをポリシーに活動を行っている。生活者の価値観が多様化し、速いスピードで変化し続ける現代だからこそ、食生活に対する意識や行動を継続的に理解する「生活科学研究」の成果も活用しながら、生活者のニーズに応え続けられる企業でありたいと思っている。

媒体情報

大豆油糧日報

大豆と油脂・大豆加工食品の動向を伝える日刊専門紙

大豆油糧日報

大豆から作られる食用油や、豆腐、納豆、みそ、しょうゆを始めとした日本の伝統食品は、毎日の食卓に欠かせないものです。「大豆油糧日報」では、発刊からおよそ半世紀にわたり、国内外の原料大豆の需給動向、また大豆加工食品の最新情報を伝え続けております。昨今の大豆を巡る情勢は、世界的な人口増大と経済成長、バイオ燃料の需要増大により、大きな変化を続けております。一方で、大豆に関する健康機能の研究も進み、国際的な関心も集めています。そうした情勢変化を読み解く、業界にとっての道標となることを、「大豆油糧日報」は目指しています。

創刊:
昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
大豆卸、商社、食用油メーカー、大豆加工メーカー(豆腐、納豆、みそ、しょうゆなど)、関係団体、行政機関など
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