【国産大豆の動向】令和6年産集荷は前年産比3.8%増の20.2万t見込みに

【国産大豆の動向】令和6年産集荷は前年産比3.8%増の20.2万t見込みに(写真はイメージ)

〈猛暑により中粒傾向に、品質面は平年並みも温暖化でカメムシが越冬し被害が懸念〉

令和6年産大豆の集荷計画数量は、JA全農と全集連(全国主食集荷協同組合連合会)が令和6年11月に農林水産省に報告した集荷・販売計画によれば、前年産比3.8%増の20万2,390tを見込んでいる。令和6年7月時点の集荷予定数量比では2.1%減の4,474tの下方修正となっている。実際には下振れするとの見方が強い。

猛暑が続いたため、全体的に中粒傾向がみられた。大粒も規定ギリギリのサイズが多いという。たん白質含有量は例年より低めのようだ。

品質面は令和5年産と比べ良化し、平年並みとみられる。一方で、温暖化を背景に全国的に大量発生したカメムシが越冬しており、黒いシミの付着や穴が開くといった被害が懸念される。

北海道は、7月時点から5,000t近く上方修正された。中粒傾向ではあるものの、集荷予定数量は全体の43%を占める8万6,493tを見込む。集荷量の多さから保管場所に苦労している声が聞かれる。また、夜温が下がる時期が遅れたため虫もつきやすかった。

東北では、岩手、宮城、山形で青大豆の収穫が遅れ、あまり乾燥していないという。山形では10月末から収穫し始め、かなり遅れていることから品質が懸念されている。秋田では長雨の影響も受けた。宮城は上位等級品の割合が少なかった。

加えて、日本海側では雨が局所的に降り、減収や品質の低下につながった。他方で、地域によっては乾燥による皮切れの被害も報告されている。関東も猛暑で集荷量を落としたという。

九州のうち福岡は、7月時点から3,000tの大幅な下方修正が入った。台風10号や降雨により播種の時期が遅れたことに加え、虫の被害も受けたことで収穫も遅れている。フクユタカは、産地を視察した卸筋によると背丈が低いという。

JA全農の主要10品目をみると、フクユタカはちくしB5号への転換と不作が影響した。なお福岡県では令和7年度までに全面積を転換する見通しだ。

リュウホウは、長雨で汚粒が増加した昨年の反動が起こり、前年比67%増となった。

同20%減のおおすずは、豊作だった前年の反動が起こったもの。

〈「そら」シリーズは従来の国産品種との差別化や価格の下降、作業量の増大などが課題〉

令和6年産の集荷量が増加した一方で、需給は鈍っている。既に在庫を充分に持っているメーカーが多いためだ。

令和5年産入札をみても、平均落札価格は7,863円、落札率は18%と、特に落札率は大きく落ち込んで終了している。令和5年産を持っているメーカーも少なくない。

令和6年12月に実施された令和6年産初回入札(日本特産農産物協会まとめ、既報)では、平均落札価格は8,331円(60kgあたり、税抜き)を付けた。落札率は55%と例年より低調だった。上場は北海道、青森、新潟のみ。

今後の入札動向について、大豆流通関係者らは、福岡・佐賀フクユタカや、令和5年産の収量が少なかった秋田リュウホウ、上位等級品の調達が難しかったユキホマレの落札価格を注視している。

農研機構が育成した極多収品種の「そら」シリーズについては、多収が見込める一方で中粒傾向が見られ、大粒傾向にある従来の国産品種との差別化を図る際に課題があると指摘する声もある。

さらに、原料を切り替えた場合の表示の問題や、増産に伴う価格の下降、作業量の増大なども鑑みる必要があるとしている。

輸入から国産へのシフトについては、安定供給できるかが重要なポイントとなる。米国産やカナダ産などの場合は、エリアが広いためリカバリーが効きやすい。

国産へのシフトを推進するためには、国内においても、特定の地域が不作だったとしても他の地域でカバーできる体制を整える必要がありそうだ。

〈大豆油量日報 1月20日付〉

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