社内研修を自社で企画、心理学取り込みコミュニケーション力向上/ハナマルキ

ハナマルキ 平田伸行取締役

ハナマルキは、既存事業(みそ)と新規事業(塩こうじ)を両立させる「両利きの経営」で着実に成長を遂げているが、そのさらなる成長を実現すべく、2023年から社内教育を自社で企画したプログラムで実施している。

以前は、外部の研修プログラムを外部講師が実施していた。外部のプログラムでは、客観的な視点で指導・指摘を受けられるというメリットはあったが、同社では、より一歩、社内課題に集中した研修プログラムを自前で企画することで、より効果的な研修になると判断した。

そのプログラムは心理学を取り込んだコミュニケーション力を向上させる内容も含まれている。そこで、マーケティング部長であり、人事部門も管掌している平田伸行取締役に、社内研修を自社企画プログラムで始めた経緯と内容について聞いた。

「これまで実施してきた、外部研修プログラムも効果はあった。しかしながら、外部研修プログラムだと、どうしても全方位的な内容になる。社内課題の解決に集中できるような内容にしたいと考え、社内で企画することに変更した」。

まず、社内で企画したのはこれまで外部プログラムで実施していた「新任課長研修」だ。平田取締役自らが講師になり、ハナマルキの経営理念、行動指針をベースにした取り組み姿勢を管理職に伝えている。

「社内事情を知っている講師だと、受講している社員も安心感が持てる。社内で起きるリアルな事例を示すことで、より実践に近い内容になり、吸収しやすくするという効果もある。また、管理職として必要な各種の判断基準を社内のケースを例にし、取り上げて示すことで納得してもらいやすい」。

〈ハナマルキに必要な「リーダーシップ」を言語化・定義、全管理職に徹底を図る〉

2024年から全管理職対象に始めたリーダーシップ研修も社内の企画だ。今のハナマルキに必要な「リーダーシップ」を言語化、定義し、全管理職に徹底を図る。

また、全社員を対象にした「コミュニケーション講座」も開始した。こちらは平田取締役自らが、心理学、コーチングを学び、自社向けにアレンジした内容で実施している。

「コミュニケーションはビジネスの基本で、ここをトレーニングするとより業務の精度が上がる。私の哲学や持論的な内容ではなく、あくまで心理学の理論をベースにしているので、社員も納得しやすいと思う」。

コミュニケーション講座は、東京、群馬、長野の各工場、そしてオンラインと機会を多く設ける。「社員も業務がある中なので、機会の選択肢は多い方がいい。そういう配慮も研修では必要」。

この心理学をベースにしたコミュニケーション講座の内容だが、「信頼関係を築くコミュニケーション」というテーマでまとめられている。

「コミュニケーションはとかく、どういう言葉を使うのか、というところに理解を求めがちになるが、この講座では、スタンス的なことをしっかり伝えている。例えば、『相手の理解した内容が、自分のコミュニケーションの成果』という言葉がある。これは、自分が伝えたことを相手がしっかり理解していなかった場合、それは相手のせいではなく、自分の責任だ、という考え方に置く」。

昨年からスタートしているが、社員からは好評で「楽しかった」、「有意義だった」という声が多く上がっている。

「コミュニケーションというのは簡単ではなく、多くの社員が上達したいと考えているはず。そういう意味ではいい機会になっていると思う」。

また、勉強した内容を教えることで、自分自身にもその理論が強く定着していくのだという。

「私の中にコミュニケーション理論が定着することによって、私自身がマネージメントする上での武器にもなっている。今後は、私のみならず、当社の社員が外部で学び、それを社内で研修として展開するスキームを増やしていきたい。その社員自身の学びが深まり、社内の研修プログラムも充実してくるという相乗効果が見込める」。

「コミュニケーションの他にも、目標達成に向けてモチベーションを上げるトレーニング法も学んでいる。今後も、心理学の理論を社内に取り入れてきたい」とし、社内のレベルを上げることで、さらなる成長を遂げたい考えを平田取締役は示した。

〈大豆油量日報 1月29日付〉

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