理論通りできず試作繰り返す/築野食品工業「圧搾一番搾り 国産こめ油」【食品産業技術功労賞】
![第54回食品産業技術功労賞 商品・技術部門受賞](https://www.ssnp.co.jp/uploads/2025/02/54kourou_05_tsuno.jpg)
米糠にはわずか20%の油分しか含まれず、溶剤を使わずに圧力だけで搾れるのは、そのわずか半分に過ぎない。そのためこめ油のような、油分の少ない原料から作る植物油は、有機溶剤を使った抽出法で作るのが一般的だ。築野食品工業「圧搾一番搾り 国産こめ油」は江戸時代から続く圧搾製法に加え、精製工程においても完全無溶剤での精製を実現した。全国流通できる圧搾製法を用いたこめ油としては業界初の商品となる。
圧搾製法にこだわり、こめ油の有効成分をなるべく残す技術を用いた。こめ油に特徴的なγ‐オリザノールを特に多く残しており、通常のこめ油に比べて約8倍多く含有している。築野靖子取締役経営企画部部長は「さまざまなニーズに対応できるこめ油を揃えておきたい」とした上で、「製法にまでこだわって商品を選びたい人に届けたい」と語る。
トライアルのハードルを下げるため、圧搾製法のこめ油としては手を出しやすい価格に設計した。容器のニーズに対応し、紙パック採用の商品もラインアップした。
「食品産業技術功労賞」は、食品産業新聞社が1971年から実施する顕彰事業。食品産業の発展に著しく貢献した企業、または個人、団体を顕彰するもの。部門は、「商品・技術部門」「資材・機器・システム部門」「マーケティング部門」「サステナビリティ部門」「国際部門」「地域創生部門」の6つがある(2024年時点)。
「第54回 食品産業技術功労賞審査」の選考委員(敬称略)
▽一般財団法人食品産業センター理事長 荒川隆
▽国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門所長 髙橋清也
▽国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事国立健康・栄養研究所所長 瀧本秀美
▽独立行政法人酒類総合研究所理事長 福田央
▽独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)農林水産・食品部長 森下興
▽日本チェーンストア協会専務理事 牧野剛
▽食品産業新聞社代表取締役社長 馬上直樹
〈食品産業新聞 2024年12月2日付より〉