廃食用油の回収サービス注力、92トンを回収、「Kprice サラダ油」販売開始/カクヤス

カクヤスグループのサステナビリティ推進課の五十川里子課長(写真中央)
カクヤスグループのサステナビリティ推進課の五十川里子課長(写真中央)

カクヤスは酒類や食品を配送するだけでなく、回収も行う「2way型サービス」の強みを生かし、廃食用油の回収サービスに注力している。同社が集めた廃食用油をレボインターナショナル(京都市下京区)が引き取り、SAF(持続可能な航空燃料)などに資源化する。

イーコス(千代田区)が資源化までのサポートとコンサルティングを担う。昨年6月に開始し、2月時点で約92トンの廃食用油を回収した。全量をSAF精製に使用した場合、航空機1台が東京から沖縄まで飛べる量に相当するという。

同社はオリジナル商品「Kprice」で、2023年8月から一斗缶の「サラダ油」と「大豆白絞油」を販売しており、2月末時点で累計約8万缶を販売した。「合わせて提案することで相乗効果が生まれている」(カクヤス)。

「Kprice サラダ油」
「Kprice サラダ油」

3月17日からは家庭や個人飲食店向けの「Kprice サラダ油」(1,350g)も販売開始する。ユニット単価で手に取りやすい価格を目指し、598円税込に設定。製造はJ-オイルミルズで、一斗缶とは大豆油と菜種油の配合が若干異なる。

カクヤスは首都圏を中心に、飲食店や一般家庭に酒類や食品を販売している。全体売上の85%が配達関連で、完全な自社配達が強みだ。年中無休で23区内はビール1本から送料無料でサービスを展開している。

カクヤスグループのグループ経営戦略部サステナビリティ推進課の五十川里子課長は、「多くの競合他社は物流を委託しているが、当社は玄関前のラストワンマイルまで抑えているのが大きな強みだ。自社配送だからこそ、届けるだけでなく、回収も行える2way型サービスが可能なことから、資源循環を強化している」と話す。瓶ビールや炭酸水ガスボンベなどの販売を強化している。

廃食用油は現在、飲食店や工場から出る事業系の年間約40万tは9割以上が回収されており、飼料などに使われている。一方、家庭系の年間約10万tのうち、回収されるのは1割程度で、大半が可燃ごみなどで捨てられている。

「強みの2way型サービスを活用し、社会課題の解決に貢献できる。元々持つシステムにマッチすることから廃食用油の回収を開始した。『揚げたら、飛ばそう』のキャッチフレーズを掲げ、廃食用油は環境にやさしい資源という新たな価値観を広めていきたい」と力を込めた。

〈回収量に応じて料金差し引く、8割は飲食店から、廃食用油の7割ほどがSAF精製可能〉

回収対象は一般家庭と飲食店などで、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、福岡、長崎の一部となる。商品の配送時と店頭での購入時に回収し、購入する商品の代金から回収量に応じて料金を差し引く。差し引き料金は500ml以上のペットボトル1本当たり3円税込、一斗缶1缶当たり110円同。容器には7割程度の廃食用油を入れる必要があり、回収のみは受け付けない。

2月までの回収本数はペットボトル4,442本、一斗缶8,094本で、重量は約92tとなった。実績の8割は飲食店からの回収だという。回収している飲食店は800軒ほどで、同社を利用する飲食店数は4万5,000軒以上であることから、まだまだ拡大余地があるとしている。

一般家庭の実績は現在、電話受付のみで、「受付窓口が限られるので伸び代はある。来期はECサービスの開始も検討する」とした。サイトのリニューアルに合わせて、廃食用油を回収できるシステムを組み込む予定だという。

集めた廃食用油はレボインターナショナル(京都市下京区)が引き取り、同社の京都工場や愛知工場でバイオディーゼル燃料やSAFに再資源化される。京都工場の生産能力は1日3万klと、廃食用油由来のバイオディーゼル燃料の製造・販売で世界随一の実績を有しているという。愛知工場にも同等の製造能力があることに加え、2月から年600L規模のSAF製造プラントを稼働した。なお、廃食用油の7割ほどをSAFに精製できるという。

〈大豆油糧日報 3月14日付〉

媒体情報

大豆油糧日報

大豆と油脂・大豆加工食品の動向を伝える日刊専門紙

大豆油糧日報

大豆から作られる食用油や、豆腐、納豆、みそ、しょうゆを始めとした日本の伝統食品は、毎日の食卓に欠かせないものです。「大豆油糧日報」では、発刊からおよそ半世紀にわたり、国内外の原料大豆の需給動向、また大豆加工食品の最新情報を伝え続けております。昨今の大豆を巡る情勢は、世界的な人口増大と経済成長、バイオ燃料の需要増大により、大きな変化を続けております。一方で、大豆に関する健康機能の研究も進み、国際的な関心も集めています。そうした情勢変化を読み解く、業界にとっての道標となることを、「大豆油糧日報」は目指しています。

創刊:
昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
大豆卸、商社、食用油メーカー、大豆加工メーカー(豆腐、納豆、みそ、しょうゆなど)、関係団体、行政機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格29,700円(税込)6ヵ月=本体価格59,044円(税込)1年=本体価格115,592円(税込)