【大豆加工品の市場動向】豆腐業界はスイーツ商品の存在感高まる


2024年の豆腐市場は、原材料価格やエネルギー費の高騰を背景に実施した価格改定により、金額ベースは維持したものの、数量ベースでは維持か微減したもようだ。野菜や米など食品全般の値上げを受けて、11月以降の実績が前年を上回ったとの話も聞かれる。
カテゴリー別では、絹ごし豆腐から充填豆腐へのシフトが見られ、充填豆腐は前年を超えた一方で絹ごし豆腐は下回った。好調が続いていた木綿豆腐も底堅い需要がみられた。暖冬の影響で鍋向けの商品が苦戦したが、冷奴需要は高止まりしたようだ。
目立ったトピックスは、アサヒコによる「職人(クラフト)豆腐」プロジェクトの立ち上げ、そして太子食品工業による新ブランド「motTOFU」(モットーフ)の発表だ。
アサヒコの取り組みは、価格で選ばれがちな豆腐を「価値」で選ぶ購買を促進するもの。一例として、豆腐製造にかかわった職人の名前、原料の産地、品種名を商品パッケージに打刻することで、消費者に対し、豆腐の原料である国産大豆にも興味を持ってもらう。フラッグシップアイテムは、「職人豆腐」の「硬派仕込」。

太子食品工業の「モットーフ」は、プラントベースフードの新ブランドとなる。4アイテムあり、具材入りの総菜系「国産大豆なめらか豆腐バー 五目入り」や、スイーツ系の「国産大豆豆腐スイーツバー カフェモカ」をラインアップし、国内と海外で発売する。
徐々に存在感が出てきたのは、豆腐メーカーから発売されているスイーツだ。豆腐バーではアサヒコから計3品、太子食品工業から2品、今春から発売された。他社に目を向けてみると、タカノフーズが、グラノーラなどをトッピングして食べる「おとうふスイーツ」を新発売している。
〈納豆業界は米の高騰や夏向けに麺類のトッピングなど食べ方を広げるアプローチ〉
納豆市場は、米の消費が落ち込む一方、納豆ご飯として食べられることが多い中で前年から数量が微増した。米が品薄となった7~8月は前年を割ったが10月以降、回復した。
カテゴリー別では、ひきわりやフレーバー納豆が引き続きトレンドだ。また2024年10月にタカノフーズとあづま食品、2025年3月からミツカンが6品を値上げした。
納豆は、食欲が落ちがちな夏に苦戦する傾向にあり、かつ米の価格が高騰していることから、麺類にトッピングして食べる提案や、酒のおつまみにオススメするなど、食べ方を広げるようなアプローチが見られる。
春夏限定商品は、梅味のおろしだれや、りんご酢入りの青じそ風味たれなど、近年の猛暑に合わせた酸味のあるさっぱりとしたフレーバーが目立つ。

同じくフレーバー納豆関連では、ミツカンから納豆たれボトルとして、「金のつぶ たれだけたっぷり!」シリーズが新発売された。納豆だけでなく他のメニューにも使いやすいと訴求している。
節約志向がさらに高まっていることに加え、スーパーでのオペレーション簡略化を背景に、陳列の単品集中化が進んでいるという。納豆においても、価格以外の価値をいかに訴求するかが、売り場で生き残るポイントになりそうだ。
〈大豆油糧日報 3月17日付〉