植物油業界が誓い新たに、京都・油祖離宮八幡宮の「日使頭祭」に油脂関係者95人が参拝

油の製造と販売の中心「油座」として栄え、現在は油の神様と親しまれている油祖離宮八幡宮(京都・大山崎)で4月5日、春の大祭「日使頭祭(ひのとさい)」が開かれ、油脂関係者95人が参拝した。献燈の儀、祝詞奏上、玉ぐし奉てんが古式にのっとり行われ、関係者は安定供給と業界の発展への誓いを新たにした。
日の頭(ひのかしら)を務めた日本植物油協会の佐藤達也会長(J-オイルミルズ会長)はあいさつの冒頭、「昨年は元日に能登半島地震が発生し、台風や大雨による被害も頻発した。今年も岩手県大船渡市で大規模な山火事が発生し、激甚災害の指定を受けている。直近では、岡山、今治で山火事が発生した。世界に目を向けると、ミャンマーで地震があった」と述べ、1日も早い復旧・復興を祈念した。
佐藤会長は同宮の由緒に触れつつ、「油祖離宮八幡宮は、日本の油脂産業の基礎を築いた地であり、その栄光は長い歴史の中で語り継がれてきた」と述べた。その上で、「植物油業界は昨今の世界的な異常気象や目まぐるしく変わる国内外の政治経済情勢変化への対応に日々努めている。この地で初めて搾油され、かつては灯明として利用されたエゴマは、今では健康油として注目されるとともに、他の多様な植物油も脚光を浴びるなど、植物油をめぐる情勢は大きな転換期を迎えている」。
「こうした植物油を日々提供している関係者が神前で誓いを立てることが、日使頭祭の意義であり、こうした伝統を絶やさず協力して維持発展させることが我々の務めだと考える。我々植物油業界は、植物油という国民生活、食品産業にとって不可欠な資源を、高い品質を維持しながら安定的に供給するという重要な役割を果たすことが求められている。その使命を全うするために、直面する荒波に立ち向かっていくことを誓う」と決意を語った。
直会では、油祖離宮八幡宮崇敬会の木村治愛副会長(マルキチ会長)があいさつし、同会の歴史に触れ、「神様の前で集まることで理性的な競争関係になる業界にする狙いがあって設立された。本日は100人近くが参拝した。文化と歴史を大事にして、我々の誇りにしようと考える人が増えたということ」と述べた。
続いて、J-オイルミルズの児玉仁志大阪支社長は、「アメリカ大統領の政策は、われわれ油脂業界にとって、バイオ燃料に関する動向が特に気にかかる。このように先行きが不透明な時代にあって、販売店としっかりと手を取り合い、油の価値向上に努めていくことが重要」と強調した。
続いて、全国油脂販売業者連合会の館野洋一郎会長(タテノコーポレーション社長)が乾杯の音頭をとった。中締めとして、関西油脂連合会の木村顕治会長(マルキチ社長)が「油締め」を行った。
〈大豆油糧日報 4月8日付〉