明治HD 新社長会見、松田氏の食品事業をけん引してきた実績を評価

明治ホールディングスは8日、明治ホールディングス、明治、Meiji Seika ファルマの3社の社長交代を発表し、同日に会見を開いた。6月27日付で明治ホールディングス新社長に松田克也執行役員COO、6月26日付で明治新社長に八尾文二郎副社長、同日付でMeiji Seika ファルマ新社長に永里敏秋取締役(KMバイオロジクス社長)が就く。川村和夫明治ホールディングス社長CEOは、相談役に就任予定だ。
社長交代の経緯について、明治ホールディングス独立社外取締役指名委員会の松村眞理子委員長が説明した。「明治ホールディングスは今、変革期を迎えており、これから新たな経営ステージに挑む上で多様な視点を統合してグループのパフォーマンスを最大化していくことが重要だ。このタイミングで3社の社長交代が最善と確信した」と話した。
松田執行役員COOを指名した理由については、「松田氏は、明治ホールディングス執行役員COO食品セグメント、そして明治社長として、川村明治ホールディングス社長CEOを支えながら、明治グループの食品セグメントを率いてきた。特に、海外事業の資源シフト、国内の生産体制の抜本改革を経営面で先導し、熱意と行動力のあるリーダーとして食品事業をけん引してきたのは大きな実績だ」と述べた。構想力や突破力、人を育てる力、発信力などを重視したという。
◆より高クオリティーの商品やサービスを作り続け、日々の生活の充実に貢献
続いて、松田執行役員COOがあいさつし、「責任の重さを痛感している。豊かで健康な食生活に貢献する商品をお届けできるよう、独自の技術により、商品のさらなる魅力や品質面などの価値を上げること、そして社員がやりがいを持って働けるような会社にすべく、改革を進めてきた。拝命にあたり、医薬品も含め、より高クオリティーの商品やサービスを作り続け、お客様の日々の生活の充実に貢献したい」と語った。
また、「業績は踊り場にあるが、そこもしっかり対応する。社会や環境の変化に対応する適応力を身に付け、個々が掲げる目標や夢を実現することが重要であり、今の当社に欠けているものだと感じる。社会が変わるから明治が変わるのではなく、明治が新しい社会を創造するくらいの意気込みを持って臨んでいきたい。そのためには社員の意識改革を私が先導していきたい」とした。
最後に、「食と医薬でそれぞれ部分最適で行っているグループ経営も、より俯瞰的に、食品事業の八尾副社長と、医薬品事業の永里取締役の2人とこれまで以上に連携して経営を進めていきたい。一丸となって、明治らしい価値を届けることで、明治グループ全体の持続的な成長と、サステナブルな社会の実現に向けて貢献していきたい」と締めくくった。
質疑応答では、食品事業の長期的な課題について八尾副社長が答え、「原材料のアップが非常に大きい。一時的にでも価格転嫁せざるを得ない。ただ、長期的にみると、人口の減少が進んでいるので需要が減っていく。足元はインフレだが、長期的なデフレも影響してくると思う」と指摘した。その対応策として、独自価値商品に磨きをかけること、またコスト競争力を強化していくとした。また、グループの中で遅れを取っているとしたグローバル化を積極的に推進していく方針を示した。
チョコレート事業に関しては、「(カカオ高騰を受けて)価格転嫁した価格でも、価値を認めてもらえるような商品をいかに提供していくかだ。これは独自価値を磨くしかない」と述べた。
〈大豆油糧日報 4月10日付〉