“ファストフードで晩ごはん”の動き 夜の需要つかむメニュー、各社続々
日本マクドナルドは今春、100円プラスするだけで、定番バーガーのパティが倍になる『夜マック』を導入。30カ月連続(5月度時点)プラスと好調に推移する既存店売上高の拡大にも貢献し、来店客の需要をつかんでいる。
15~24時限定、「炙り塩鯖定食」(吉野家)
一方、牛丼の吉野家も昨秋より、『吉野家の晩ごはん』をコンセプトに、定食メニューを強化した。炙りたての鯖を提供する定食メニューを投入するなどボリューム感と満足感のある定食メニューを発売している。ランチタイムと比較し、売り上げの落ちる夜の時間帯の強化策の一環で、客単価と来店客数の拡大につながっており、一定以上の成果を上げているという。
〈各チェーンが“夜向けメニュー”展開、“夜限定キャンペーン”も〉
「夕方5時以降の売上高、客数ともに拡大しており、狙い通りの結果を得られている。引き続き販売を継続していく意向だ」。
今春よりスタートした『夜マック』の成功を日本マクドナルドPR部の當山心氏はそう振り返る。商品施策やプロモーション戦略が功を奏し、昼の時間帯には、行列ができる店舗もあるなど好調に推移している日本マクドナルド。まだまだ客席に余裕のある夜の時間帯の売上確保に乗り出すため、同社が投入したのが『夜マック』だ。ハンバーガーやチーズバーガー、ビッグマックといったレギュラーメニューの定番バーガーを対象に、100円プラスするとパティが倍になる“倍バーガー”を17時以降、販売しているもので、17年6月から東海3県(愛知県・三重県・岐阜県)で展開したところ好調に推移したため、今年3月19日より全国へと拡大した。
「カフェラテ」の刷新やレギュラーメニュー争奪オーディションなど様々な施策により既存店売上高30カ月連続で前年超えを達成する同社だが、『夜マック』の導入もその一端を担っているという。
“KFCのフルコース”「カーネルBOX」(ケンタッキーフライドチキン)
一方、ケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)は昨年5月よりボックスメニュー「カーネルBOX」を導入。
オリジナルチキン、サンド、カーネルクリスピーなどのKFCの定番メニューに骨なしケンタッキー、カーネリングポテト、ミニアップルパイ、ドリンクを組み合わせた、“KFCのフルコース”が楽しめるボリューム感たっぷりのセットメニューだ。ボリュームのある商品を求める男性客のランチ需要の獲得や家族や友人とのシェアを狙って投入したものだが、ディナー時間帯の売れ行きも好調だという。5月からはテレビCMも投下しており、同商品の認知拡大と拡販に繋げていく。
またトリドールホールディングスが運営するうどんチェーン「丸亀製麺」では昨年から、フェア商品を18時以降、期間限定で半額提供するキャンペーンを実施。店舗を限定し実施する『30分生ビール飲み放題』も含め、ディナー時間帯への来店誘引を狙ったもので、前期(18年3月期)に達成した既存店売上高43カ月連続プラスの一因となった。
各社がディナー時間帯の強化に乗り出した背景にあるのは、外食チェーンにおける顧客獲得競争の激化だ。少子高齢化や消費者の選別志向の強まりを背景に、コンビニに代表される異業種も含めた顧客獲得競争の激化が進んでいる。主戦場のランチに次ぐ、売り上げの山場をディナーに作れるか、各チェーンの模索が続く。
〈食品産業新聞 2018年6月25日付より〉
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