マルサンアイ 売上高300億円達成、利益率向上へDX活用、アーモンド飲料・豆乳グルトを次の柱として育成/2021年度決算説明会
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マルサンアイは11月1日、12月16日付で堺信好常務が代表取締役社長に昇格し、渡辺邦康社長が代表権取締役会長に就任するトップ人事の内定を発表した。
新社長に内定している堺常務は「渡辺社長のもとで、2021年度に売上高300億円という当社の大きな夢を達成できた。私の使命として、体力づくりと(生産体制の)環境づくりをしっかりやって、さらなる成長路線を目指したい」と意気込みを語った。
マルサンアイ 堺常務
渡辺社長は「300億円に向かってひたすら進んできたが、足元をみると利益がついてきておらず、営業利益率は1強の水準。体力づくりを期待している」と話した。
マルサンアイは今後の事業展開のテーマとして、DX活用による利益率の向上を盛り込んだ。売上原価率・販管費率・運転資本回転率の低下、固定資産回転率の向上に取り組む。
堺常務は2021年度業績について説明し、「70周年の記念の年に、売上高300億円を突破し、13年連続の増収を記録した。営業利益は減益となり、原材料、運賃など増加に加え、(戦略的な)広告宣伝費の増加が、利益に大きく影響した」と説明した。
事業別では、みそ事業は1.2%減収となったが、「不採算商品の見直しによるもので、計画通り物量は5%減少したが、売り上げはそれほど落ちていない」と予定通りであることを強調した。
豆乳飲料事業は、主力の豆乳とアーモンド飲料が好調、その他食品事業に分類される豆乳グルトも好調だった。堺常務は「アーモンド飲料はメディア効果もあって50%伸長し、10億円を突破した。豆乳グルトも10億円を突破した。アーモンド飲料と豆乳グルトは、みそ、豆乳に次ぐ事業の柱になってくる」とし、育成に力を入れる。
〈鮮度みそを拡売、業務用豆乳のシェア拡大図る、豆乳・みその値上げは考えていない〉
2022年度(2022年9月期)は、売上高3.0%増の309億9,600万円、営業利益12.4%減の3億3,200万円の増収減益を計画。渡辺社長は「過去最高の売上高を予定しているが、営業利益は減益の見込み。大豆など原材料の高騰が一番大きな要因」と説明した。
一方で製品価格の値上げについては、「主原料だけでなく、副原料、運賃、あらゆるコストが上がってきているが、豆乳の値上げは今のところ考えていない。豆乳と同じく大豆を主原料とするみそは、豆乳よりもさらに原価に対する大豆の割合が多い。今のところ値上げは考えていないが、苦しいのは事実」とした。
事業別では、みそ事業は0.2%増の47.1億円を計画。内訳は、生みそ0.9%減の36.3億円、調理みそ2.0%増の3.8億円、即席みそ1.6%増の4.7億円、液状みそ「鮮度みそ」シリーズは15.4%増の2.3億円を目指す。堺常務は鮮度みそについて、「9月からリニューアル発売し、『あわせ』など410g4品が前年比10%伸長している。商品をいろいろと発売して試行錯誤した中で、売れ筋が定まってきた。リピート率も上がっている。4品中心に拡売路線を図る」と強調した。
今後の展開では、みそ事業は鮮度みその拡売と新製品開発による商品力の強化のほか、即席みその部分内製化、調理みその内製化により、利益の拡大を図る。渡辺社長は海外市場の拡大について、「中国、タイの販社及び輸出の拡大を図る。2021年、みそのハラール認証を取得した。イスラム圏への輸出拡大を図れる」とした。豆乳飲料事業は、5.1%増の243億円を計画。内訳は、豆乳5.7%増の217億円、飲料0.3減の259億円とし、豆乳の拡大を見込む。
渡辺社長は今後の展開について、「(グループ会社匠美の)業務用バルク工場が稼働し、潤沢に供給できる体制が整った。業務用シェアの拡大を目指す。豆乳は料理を引き立たせる素材であり、卵焼きにいれるとふっくらと、ハンバーグに入れるともっちりと仕上がる。豆乳を使うことで、食シーンを広げることに貢献したい」とした。
アーモンド飲料については、「マーケットは、牛乳6,500億円、豆乳700億円、アーモンド飲料100億円と、まだまだ小さいが、注目度は高い」とし、アーモンド飲料、オーツミルクなど第3のミルクの拡売に力を入れる。
〈大豆油糧日報2021年11月17日付〉