「日本食には日本の炭酸水」の提案続々 訪日客増加でニーズ拡大

そば処「無茶庵」の料理と併せて「い・ろ・は・す グラススパークリングウォーター」/コカ・コーラシステム
〈外国人が訪日で最も期待しているのは「日本食を食べること」〉
飲料大手から料飲店向けに日本の天然水使用の炭酸水が相次いで発売されている。

訪日外国人を中心に、レストランなどで有料の炭酸水を選ぶ顧客が増加しているが、現在展開されている炭酸水のほとんどは外国産の商品である。訪日外国人が来訪前に期待していることで最も多いのは、「日本食を食べること」で68.3%にのぼる(観光庁「訪日外国人消費動向調査・平成29年度」)など、日本食への注目度は高い。各社の炭酸水の新商品は、日本食の際には、日本の天然水をベースにした炭酸水を楽しんでもらおうというねらいだ。

〈2020年に向け「い・ろ・は・す」新商品を展開/コカ・コーラシステム〉
コカ・コーラシステムは、日本の天然水を使用したミネラルウォーター「い・ろ・は・す」から、ブランド初となるグラスボトル入り炭酸水「い・ろ・は・す グラススパークリングウォーター」(300mlワンウェイ瓶)を料飲店向けに発売する。富山県砺波の天然水を使用し、ほどよい刺激で食事とともに楽しめる炭酸水。容器はデザインオフィスnendo代表の佐藤オオキ氏によるデザイン。湧き出る天然水によって生まれる波紋を表現している。

同社は、11日にホテル椿山荘東京(東京都文京区)で試飲・試食会を実施し、すでに採用が決まっている同ホテルのそば処「無茶庵」の料理と併せて提供した。

日本コカ・コーラ社のウォーターグループの高木直樹マネージャーは、「15年ほど前には水を買って飲む習慣がほとんどなく、ミネラルウォーターは日本人の生活に溶け込んでいなかった。その後、ヨーロッパのブランドを中心に、日本でも徐々に水を買って飲む習慣が広がっていった。9年前に発売された“い・ろ・は・す”は、日本には豊かな自然と恵まれた水源があるのだから、日本で飲むための天然水ブランドを立ち上げようということで誕生した。今回の新商品は次の挑戦になる。レストランでアルコールや“コカ・コーラ”を注文するように、天然水をお金を払って飲む時代がくるのではないか」と語った。

また、営業を担当するコカ・コーラボトラーズジャパン執行役員の佐藤一仁東京営業本部長は、「訪日外国人で東京に来られる方は昨年比で5.1%増加している。2020年に向けて食のオケージョンはどんどん広がる。我々はニーズに応え、食との相性の分析や新しい飲み方の提案をしていく。新商品により選択肢の幅を広げることができるだろう」と話した。

「微発泡」と「発泡」、2タイプを展開する「山崎の水」/サントリー食品インターナショナル

「微発泡」と「発泡」、2タイプを展開する「山崎の水」/サントリー食品インターナショナル

〈「山崎の水」2タイプを料理との相性・好みに応じて提供/サントリー食品〉
一方、ミネラルウォーターカテゴリーでトップのサントリー食品インターナショナルは、今年2月から「山崎の水」を和食店やレストランなど、料飲店向けに発売している。

ラインアップは「微発泡」(650ml瓶/330ml瓶)と「発泡」(330ml瓶)の2種類。繊細な味付けの和食の際は微発泡を、さっぱりと口を洗い流したい脂が多めの料理では発泡のタイプなど、料理との相性や好みに応じて提供できるるようにしたという。デザインは、山崎の竹林を念頭に、竹林の隙間から光が差し込みキラキラと光るようなイメージで設計した。

同社の担当者によれば、「京都郊外の天王山の麓にある山崎の水を使用した。茶人の千利休が秀吉のために茶室を構えた場所が山崎の地といわれる。また、サントリー創業者の鳥井信治郎も、良いウイスキー作りのために全国を回って良い水を探し、日本初のモルトウイスキーの蒸留所を建てたのもこの地。先人たちが求めた名水といえる」という。

「山崎の水」は、国際味覚審査機構(iTQi)において、2018年度優秀味覚賞を受賞(二ツ星)しており、同社はテーブルウォーターでも主役の座を目指す考えだ。

〈酒類飲料日報 2018年6月13日付より、一部改稿〉

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