アサヒビール、愛称“マルエフ”の生ビール缶を復活、「ドライ」に次ぐ第2の柱へ育成
【商品詳細】アサヒ生ビール“マルエフ”缶28年ぶり復活、“飲食店で愛され続けたまろやかなうまみ”
中味は1986年の発売当時そのまま、パッケージを大きく変える。アルコール分4.5%、価格は既存のスタンダードビールと同様。販売目標は年内150万ケース。2022年までにアサヒの代表的ブランドとして立ち上げ市場定着させ、「スーパードライ」に次ぐ第2の柱に育てる。2026年には1,000万ケース規模に拡大を目指す。
「消費者のビールのニーズが多様化し、スーパードライだけで満足させるのは難しい。スペックだけでなく、情緒的な価値を訴える商品。キーワードは“ぬくもり”。」(松山一雄専務取締役マーケティング本部長)。キャッチコピーは「いま、時代に求められて復活。日本に、ぬくもりを。」
「マルエフ」とは、1984年から1985年にかけて同社が実施した5,000人の嗜好調査において「苦くて重いビールから、のどごしのよいすっきりした味わいのビールへ」という嗜好の変化を捉えた“コクがあってキレがある。さらにまろやかなうまみのある”ビール。1986年に発売し、翌年の「スーパードライ」のヒットの足掛かりとなった。その後、当時の生産体制を「スーパードライ」に集中するために、1993年に缶は終売となったものの、その味わいは飲食店から愛され続け、樽生のみ継続して販売してきた。缶の発売についても、これまでお客様相談室やSNS上で復活を望む声が寄せられているという。
1986年の発売前、商品を開発する際の社内での呼称である開発記号として“幸運の不死鳥(FORTUNE PHOENIX)”を由来とする“マルエフ(F)”と名付けられた。通常世の中に出ることはない開発記号が、1986年の発売後も飲食店を中心にそのまま愛称として定着した。今回の缶発売にあたり、パッケージには“幸運の不死鳥”のアイコンとともに“通称 マルエフ”と“復活の生”という文言を記載した。「飲食店で愛され続けたまろやかなうまみ“復活の生”」。
広告や販促では、アルコール商品では初となる新垣結衣さんを広告キャラクターに起用。TVCMに加え、WEB・SNSなどを活用して、おすすめの注ぎ方動画放映や、TVCMで使用しているグラスが当たるキャンペーンなどを実施する。
なお、11月24日に「アサヒ生ビール黒生」も発売する。
〈「癒し・リラックス」といった情緒的なニーズに応える〉
8月28日にオンラインで発表会を行った。松山本部長、倉田剛士新商品開発部長が登壇した。
アサヒビール 倉田剛士新商品開発部長と、松山一雄専務取締役マーケティング本部長
松山氏は開発の背景について「約3年半ぶりのビール新商品となる。消費の価値観は、 “不要不急”が排除され、人と人とのつながりが希薄化している。家飲みシーンはゆったり・まったりと楽しむ傾向にある。スーパードライがエナジー系、明日の活力系とすると、癒し・リラックスという情緒的なニーズに応える」と述べた。
倉田部長は「1986年、低迷するアサヒビールを復活に導いた生ビール。元祖“コクがあるのにキレがある”で、まろやかなうまみで、ゆっくり味わえる」と中味を紹介。ビデオで、新橋「ビアライゼ’98」の松尾氏は「柔らかな味わいはビールの中で最高峰。語れることの多いビール」、広島「ビールスタンド重富」の重富氏は「コクとキレのバランスが良く、ビールのうまみがある」と取扱いの理由を語った。
販促は、飲食店と連動した活動を行う。業務用ではPOPや新ロゴグラスを展開、家庭用では飲食店を想起するキャンペーンパックなどを販売する。飲食店からも情報発信してもらい、家庭用につなげていく。
「コロナ禍だから、家飲みだから、というのではない。歴史を超えて、飲食店と家庭、双方で楽しまれるブランドをつくっていく」(松山本部長)とした。
〈酒類飲料日報2021年9月9日付〉