イズミヤ 大阪・あびこ店2階に保育施設 子育て中の人手確保に「効果は絶大」
イズミヤ(大阪市西成区)はこのほど、大阪市住吉区に「デイリーカナートイズミヤあびこ店」をオープンした。同社は店舗再編計画を進行中で店舗の建て替えを進めており、同店は建て替え工事後に再オープンする1号店となる。また、2階にはエイチ・ツー・オーリテイリングが開設する企業主導型保育施設を併設。従業員の仕事と子育ての両立を支援する。投資額は計8億9,400万円。年商は15億5,000万円を見込む。
大阪市営地下鉄あびこ駅から徒歩2分、JR我孫子駅から徒歩7分の場所に位置し、500m圏内には約9,500世帯と非常に人口密度が高いエリアとなっている。近隣にはライフや万代などの競合も多数存在する。近隣住民は高齢者層や30~40代のニューファミリー層に加え、単身者の比率も48%と高く、幅広い世代に支持される商品構成をとっている。また、営業時間を9時~深夜0時までと長く設定したことで、コンビニ性にも対応した。
「午前、夕方、深夜と時間帯で品ぞろえを変えるいわば三毛作。これをストロングポイントにしていく」(福田孝三執行役員食品商品統括部長)とするように、時間帯ごとに商品を変える。高齢者の多い午前中は、小さい丼など小容量の惣菜を充実させ、仕事帰りのファミリー層などが多く来店する夕方は、簡便商材や大容量の惣菜を多くそろえる。また、コンビニを多用する単身者の男性をターゲットに置いた深夜は、酒やつまみなどを充実させていくという。「同じ餃子でも量目が変われば違う商品になる。このきめ細かさが肝要」(福田統括部長)。
部門別の売上構成比は、惣菜とベーカリーを含む生鮮で55%弱と高く設定している。また、売り場の「トライどっとこむ」コーナーでは、部門にかかわらず様々な商品を試食提案するほか、日替わりのおすすめメニューのレシピを紹介する。冷食コーナーではリーチイン扉8台を設置しているほか、農産の横に凍菜、畜産の横に冷凍肉を置く売り場を設けている。オープン当日は、入場制限が出るほどの大盛況となった。
〈グループ初の事業所内保育施設 将来は地元住民向けのサービス運用も検討〉
同店の2階には事業所内保育施設「H2Oほいくえん」を同グループとして初めて開園。人材の確保及び福利厚生の向上を図ると同時に、地域の待機児童解消と女性の就業推進の貢献を図る。定員は19人で従業員の子どもを預かる。時間は7時30分から18時30分までで、1回あたり500円とし、月の上限を1万円と設定している。
同施設を導入したことで、これまで確保が難しかった子育て中の若い女性からの応募が多くあり、「土日に働きたくても働けなかった子育て中の女性に効果は絶大。今後、他店にも導入することを検討している」(木下健二エイチ・ツー・オーリテイリング事業戦略室事業戦略担当部長)。また、将来的には従業員に限らず、地元住民へ向けたサービス運用も検討する。
〈冷食日報 2018年2月15日付より〉
あびこ店2階に開園した「H2Oほいくえん」
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