Non表示の厳格化で次回会合から議論開始/消費者委表示部会
GMO制度の議論では、基本的な考え方として、日本で流通しているGM食品は厚労省の安全性審査を受けており、「安全性は確保されている」ことを改めて確認した上で、今後、5点の論点で議論を進めていくとした。
1点目の表示義務対象品目では、現行制度は安全性が確認された8農作物とそれを原材料とした33加工食品群だが、今後の方向性では、表示の信頼性、監視可能性の観点から現行制度を維持することを消費者庁が提案、今後再現性のある検査法が確立された品目に対しては義務対象へ追加していくこととした。
2点目の表示義務対象の原材料の範囲では、事業者の実行可能性、表示の見やすさ・優先度などの観点から、現行制度(原材料の重量に占める割合の高い原材料の上位3位までのもので、かつ原材料・添加物の重量に占める割合が5%以上であるもの)を維持する方向性で議論を展開する。
3点目のGMO不分別の表示では、「遺伝子組換え不分別」の表現に代わる、実態を反映した分かりやすく誤認を招かないような表示を検討していく。
4点目のGMO混入率については、原材料の安定的な調達が困難となる可能性や検査に係る作業量やコストの増大などの観点から現状維持を支持。GMOの混入が5%を超える場合は「遺伝子組換え不分別」であることを義務表示するとした。
5点目の「遺伝子組換えでない」表示(Non表示)の条件では、分別生産流通管理で、GM農産物の混入が5%以下であれば、「遺伝子組換えでない」と任意表示を可能とする現行制度を改め、「不検出」に厳格化する方向で、8月末開催の次回会合で議論することを確認したが、具体的な方向性については言及しなかった。
〈原産地表示で事業者向け指針を作成、全国35カ所でセミナー実施予定〉
続いて新たな加工食品の原料原産地表示制度に係る答申への対応では、消費者・事業者の理解に関する目標値を設定。経過措置期間終了時の消費者の理解度を50.4%、事業者の理解度を100%に設定する。消費者への普及・啓発では、全国35カ所で食品表示制度セミナーを実施する予定。事業者への周知では、昨年作成した「新しい原料原産地表示制度の事業者向け活用指針」に加えて、事業者が行う具体的な行為の手順などを示す指針を作成し、説明会を開催していく計画とした。
監視では、「加工食品の原料原産地表示に関する監視の手順書」作成し、各地方農政局などや地方自治体に通知し的確な運用の徹底を周知する。不正表示の取り締まりに関する研修会も実施する予定とした。
こうした対応に対して、委員からは、今村知明奈良県立医科大学教授が「これまでの監視体制とは規模が違う。どう監視していくのか。その体制について説明してほしい。できればその手順書を見せてほしい」と監視体制の内容を指摘したほか、菅聡一郎委員(弁護士)が、「新制度が施行されてから、まだ表示が切り替わった感じを受けない。あまり普及していないのではないか。現行制度と、新制度の例外表示が混在すると、誤認する危険性もある」と新制度の普及状況について疑問を示した。
これに対し、消費者庁は「まだ大手の動向を確認できていない。できるだけ早い時期に対応してもらえるように働きかける。大手が実施すれば、普及率も上がっていくはず。今年度からは、普及率に関して、進捗具合をチェックしていきたい」などと述べた。
食品表示基準の一部改正では、無菌充填豆腐に関して、冷蔵保存から常温保存に変更した場合のリスクに差があるとは考えにくい、また、冷蔵保存、常温保存のどちらが必要なのかを消費者が明確にわかるように表示する必要があると改正したことを報告した。
〈大豆油糧日報 2018年6月8日付より〉
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