姫路の小売地図が変化 ヨーカドー跡にドンキ、「ザ・モール姫路」経営は西友からイズミへ
兵庫県姫路市はイオングループのSM(食品スーパー)「マックスバリュ西日本」(広島市)のお膝元。2011年に移転するまで姫路市に本社を構え、同市内に25店舗を展開し、食品小売ではトップシェアを持つ。ただ、近年は他地域のSMが進出してきて、市内の小売シェアの地図は徐々に変わってきている。
広島と岡山にSMをドミナント展開するハローズ(岡山県早島町)は、瀬戸内200店舗構想を掲げ、08年から四国・香川への進出を始め、11年には愛媛、徳島にも進出を果たした。
15年から新たな商勢圏として、兵庫県への出店を姫路市から開始した。イトーヨーカドー広畑店の隣接地に出店した「ハローズ広畑店」も、当初は知名度が低く苦戦していた。ハローズの佐藤利行社長は当時、「市内で最も支持されているのが西友(ザ・モール)。品揃えや価格でも十分に対抗できる。隣りのヨーカ堂の閉店が決まっているので、今後は売り上げも上がってくる」と話した。同社は現在姫路市内3店など兵庫県内に4店を展開し、順調に勢力を伸ばしている。ただ、ヨーカ堂の跡に「ドン・キホーテ」、西友の跡に「ゆめタウン」が進出してくると、姫路市内の勢力図は、また違った方向に行きそうだ。
イトーヨーカ堂、西友ともに経営資源の選択と集中という判断の中で、エリアからの撤退という判断になった。一方でイズミ、ドン・キホーテはドミナントエリアの深耕になる。ハローズは商勢圏をもう一回り拡大するという動きだ。姫路市内シェアトップのマックスバリュ西日本は、早くから店舗展開する分、古い小型店が多い。生鮮品の十分な加工機能を持てない店が多いが、集中ドミナントしている利点を生かし、10店舗程度に供給する鮮魚の集中PC(プロセスセンター)を設けて対応するなど、防戦を行っている。
姫路のような地方都市は人口動態や商環境の変化を背景に、各社の優劣関係がそれぞれ撤退、深耕、拡大などの動きになっている。今後各地の小売地図が変化していく可能性がある。
〈食品産業新聞 2018年2月15日付より〉
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