北陸の大雪被害、食品流通への影響を振り返る 物流停止も多発 今後の対応はいかに

今年2月5日から8日にかけて、北陸西部(石川県加賀地方・福井県嶺北地方)は記録的な大雪となり、死者や重軽傷者を含む深刻な被害が出た。国道8号線では一時1500台の車が立ち往生し、小松空港では4日間にわたり全便欠航、JRは特急「サンダーバード」「しらさぎ」を運休した。物流への影響も甚大で、一部のスーパーやコンビニエンスストアでは日配品を中心に品薄状態となった。流通、メーカーなどを中心に被害の状況と対策について聞いた。

〈2店を2日休業、「天候は読めない。除雪を迅速に」/PLANT〉
聞き取りを行った量販店の中で、大きな影響を受けたのは福井県に本社を置くPLANTだ。福井の2店を2日休業し、他の店舗でも営業時間を短縮した。現在は通常通り営業を再開しており「天候は読めないものだが、大雪の際は除雪作業をなるべく迅速に行うなどして対応するしかない」としている。

〈15店で短縮営業、「物流ストップを想定した在庫確保に努める」/平和堂〉
平和堂は福井・石川の店舗約15店で営業時間を短縮した。また、福井の物流センターから商品を配送しているため、食品や衣料品、日用品など全ての部門で商品の供給が一時的にストップした。今後の対策として「天候予測の精度を高めることで、物流が止まることを想定した在庫の確保に努める」としている。

バローも北陸地方に出店しているが、閉店を1時間早める程度の影響で済んだ。富山に拠点を置くアルビスは、福井県の4店で閉店時間を早めた。道路状況により生鮮や日配など一部の商品を店舗に届けられなかったが、1月の大雪の経験を踏まえて事前に商品の在庫を増やしておくといった対策をとっており、影響は比較的少なかった。マックスバリュ北陸では名古屋や大阪方面からの商品の仕入れが遅れたが、地元商品で、ある程度の品ぞろえはカバーすることができた。

〈展示会の来場は例年の5~6割、「対策本部を設け準備」/食品卸・カナカン〉
食品卸のカナカンは「福井方面の被害が大きかった。関西方面からトラックが入ってこないためSMに納品できず、数日間は発注を止めた。日配品などは廃棄も行った。SMでは日配やパンが欠品していた」と語る。2月8日、9日の両日、予定通り「2018春季総合企画商談会」を開催したが、来場者は例年の5~6割となった。「対策本部を設け、担当メーカーの割り振りや情報収集の方法について準備を整える。物流会社とも連携を取らないといけない」と対策を講じる考えだ。

〈スタッフ出社できず休業/羽二重豆腐、「安全が最優先」/橋栄醤油みそ〉
金沢市の羽二重豆腐では、スタッフが出社できず、1日製造を休業し、週末に振替え生産した。「宅配業者はストップし、出荷に苦労した」という。橋栄醤油みそは、「北陸の運送会社を利用しているが、福井向けは19日頃までストップした」という。幹線道路の大渋滞にも巻き込まれたが、「身の安全を確保し、帰ってくることが最優先」と語った。ヤマト醤油味噌は、「小口の宅配便、大口トラック便も一週間出荷が止まった」とする。宅配便については、業者によっては荷受けしていたところもあり、バラツキがあったもよう。

〈着便に2日の遅れ生じるも、9日から通常出荷/伊藤ハム販売・福井営業所〉
伊藤ハム販売・福井営業所では、福井・富山方面への通行が困難のため、欠品があった。営業所着便に2日の遅れが生じるなど、混乱したが、9日からは通常出荷が可能となった。また、伊藤ハムデイリー北陸工場では6日に出荷できず、翌7日に出荷を再開した。このほか、福井を経由する資材品に未着があったが、生産には影響なかった。

金沢市の金沢製粉は6日から1週間、物流業者が荷物の取り扱いを中止したため、出荷がストップした。県外への対応に苦労し、「どうしても」というユーザーには営業車で小麦粉を運んだ。原料小麦の引き取りも2日間中止となり、「冬場は在庫に余裕をもたせなければ」と感じた。ユーザーのパン屋やめんメーカーは休業したところが多かったが、学校給食優先で稼働していたところもあった。もっとも積雪が激しかった石川県加賀市の機械メーカー、ソディックは6日から10日まで、加賀事業所全体が休業となり、生産に遅れが生じた。

〈食品産業新聞 2018年3月5日付より〉

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