神明・むらせ業務提携「米消費拡大諦めない」で一致

むらせ・村瀬慶太郎社長(左)、神明・藤尾益雄社長(右)
〈「資本」伴わないが「同じ志の他卸なら来る者拒まず、業界活性化の契機に」〉
米穀流通業界最大手の(株)神明(兵庫県神戸市、藤尾益雄社長、2017年3月期売上高1,824億円)と本紙調べで第5位の(株)むらせ(神奈川県横須賀市、村瀬慶太郎社長、2017年度売上高451億円)は15日、業務提携契約を締結した。同日、締結前に都内で開いた会見に2社長が臨み、「米消費拡大を諦めていないという意味で、両社の思惑が一致した」、「今後、同じような志の他卸経営者から相談・提案を受けることもあり得る。今回が業界活性化のきっかけになってくれれば」と口を揃えた。

業務提携の内容は、〈1〉原料米の共同調達、共同産地開拓、〈2〉精米工場の共同利用、〈3〉共同物流による配送効率化、〈4〉その他両社協議により必要と考えられる事項。具体的には「6月8日……は候補日だが、そこからキックオフ。(業務提携検討)委員会を立ち上げて、チームごとに検討し、細かいところを詰めていく」(村瀬社長)。したがって現段階で具体的なことは白紙で、しかし業務提携に至った動機を、「当社は1902年(明治35年)創業、むらせさんは1926年(大正15年)創業で、お互い祖父の代からつきあいがあり、特に慶太郎社長とは、企業理念、考え方が似通っており、あるいはめざすところが共通している。両社が組めば業界が元気になるのではないかと考えた」(藤尾社長)、「消費はこのまま減っていく一方なのではないかという雰囲気が蔓延している。これは業界の責任だ。その業界が変化するきっかけになればと決断した次第」(村瀬社長)と語った。

例えば精米工場は、「当社が7か所、むらせさんが3か所保有しており、合わせて10工場。これで、北海道を除く全国エリアをカバーできる。2社とも北海道にも取引先があるが、精米工場はない。何と言ってもホクレンが立派な工場を持っているので、新工場を建てるとかえってコストが増嵩する恐れがある」などとした。

会見で質問が集中したのは、「資本」を伴っていない業務提携であること。この点、藤尾社長は「農業競争力強化支援法とは無関係」とし、村瀬社長も「新マーケットを作らなければ、農家手取りは上げられないと思っている。少しでも産地に光を見せられれば」、「今回は全農-木徳神糧のケースとは全く違う」とも。では将来はどうか。「資本? まだ“おつきあい”が始まったばかり。将来おつきあいして活性化していくなかで、ひょっとしたら“結婚”もあるかもしれないが、今はまだおつきあいが始まったばかりなので」(藤尾社長)。「なんか今アプローチされたみたいだ(笑)。

あくまで新しいチャレンジをするための提携であって、現段階で“資本”は全く考えていない。そもそも資本を伴わなければならない関係性ではダメだろう」(村瀬社長)。そもそも今回の資本提携、どちらが先に提案したのか。「どちらから? いや、どちらからともなく…。確かに最終的には私のほうから『なら業務提携しまひょか?』って訊いたから、こちらが先かもしれないが、『しまひょか?』『しましょ』みたいなノリだった」(藤尾社長)とした。

〈米麦日報 2018年5月16日付より〉

【関連記事】
・鯖料理専門店「SABAR+」、3店舗目「なんばシティ」オープン
・〈食品産業技術功労賞特集〉神明「コメ輸出と寿司店の海外展開」
・発売1年で200万パック 朝食需要コメで取り返す「むらせ ライスグラノーラ」
・〈食品産業技術功労賞特集〉むらせ「むらせ ライスグラノーラ」